米Adobe Systemsは米国時間2010年6月1日、新たな出版社向けデジタル閲覧技術を発表した。出版社は、印刷媒体における雑誌独自のコンテンツやデザインを維持しつつ、米Appleのタブレット型コンピュータ「iPad」で閲覧可能なデジタル版を発行することができる。

 Adobeは近日中に同技術をすべての出版社に利用可能とし、さまざまなプラットフォームへの対応を進めていくとしている。同社のプロ向けDTPソフト「InDesign CS5」で作成したレイアウトを、iPad向け電子書籍アプリケーション用に変換するためのソフトウエアを、同社の早期技術提供サイト「Adobe Labs」で公開する予定。

 同ソフトウエアは、米Conde Nastの雑誌「WIRED」と協力して開発した。同誌は先日、Adobeの技術を用いたiPad向けデジタル版をリリースしている。デジタル版WIREDは、印刷媒体を忠実に再現するだけでなく、デジタルメディアの体験も組み合わせる。動画、スライドショー、360度画像の閲覧が可能なほか、マルチタッチ機能に基づいた指操作による拡大/縮小なども行える。また、iPad本体の方向に合わせた縦・横の表示に対応する。

 デジタル版WIREDのようなアプリケーションでは、インタラクティブな機能を利用したインパクトの強いブランド広告を掲載することができるため、通常の出版物より多くの広告主を獲得し、広告収入を高めることができる。

 デジタル版WIREDは、Appleのアプリケーション販売/配布サービス「App Store」を通じて提供している。価格は4.99ドル。

[発表資料へ]