総務省の内藤正光副大臣は2010年6月1日の政務三役会議で、「有線音楽放送事業の正常化に関する検討チーム」の調査報告書の内容を報告した。この検討チームは、今後の有線ラジオ放送業界の早急な正常化に向けて、有線ラジオ放送業界の正常化に関する経緯やコンプライアンスなどについての調査を進めていた。
報告書では、大阪有線放送社の違法状態が発覚した際に、キャンシステムなどのほかの有線音楽放送事業者について正常化されなかったことについての見解が示された。「大阪有線放送社の違法の程度と悪質さ、告発に至る経緯などを考慮すれば、行政および電柱所有者がまずは大阪有線放送社の正常化を進めたこと自体には合理性がある」とした一方で、「全国有線音楽放送協会およびキャンシステム、ほかの協会員各社の指導については、「(当時の)総務省の対応が甘かったと言わざるを得ない」とした。
キャンシステムの正常化が進まなかった理由については、「人事異動時の引き継ぎの不十分さや正常化期限延長について、キャンシステムの正常化計画の報告を受領するのみで検証が十分行われなかった」ことを挙げた。さらに大阪有線放送社の正常化後に、キャンシステムの取締役でもある国会議員が大阪有線放送社の正常化について疑義を持ち、その正常化の検証を求めるなどの働きかけをしたり、キャンシステムをはじめとする全国有線音楽放送協会に所属する有線音楽放送事業者の正常化が済んでいないことについて擁護する発言をしたりしたことについては、「事実は認められるが、結果的にこれが具体的行政に影響が及んだといえる証拠はなかった」としている。
今後の有線音楽放送業界の正常化に向けた提案としては、「キャンシステムの報告内容および正常化期限の検証を十分に行い、進ちょく管理を行うことが重要」「キャンシステムについて、特に合理的な理由もなく正常化が遅延する場合においては、有線ラジオ放送法に基づき、業務停止命令も含めた厳正な対応を取ることが必要」などとした。
報告を受けた原口一博大臣は、ほかの政務三役に対して、「旧政権時代の口利きを一度総括してほしい」と指示した。「新政権ではインサイダーな動きは一切認めない。国会議員が役所にアクセスしたものはオープンにして、どこから見ても誰から見ても公正という形にする」とした。