米Amazon.comが電子書籍リーダー「Kindle」の次世代版を今夏にもリリースする予定だと米Bloomberg Newsが2010年5月29日付の記事で伝えた。新端末はこれまでよりも薄型で、ディスプレイの応答速度は速く、画像はより鮮明になる。ただしタッチスクリーンは備えず、カラー画面ではないという。

 米Appleのタブレット端末「iPad」の登場により、厳しい競争にさらされているKindleだが、新端末はiPad対抗を狙うのではなく、従来の競合製品であるソニーや米Barnes & Nobleのリーダー端末に照準を合わると報じている。

 米Wall Street Journalによると、AmazonのJeff Bezos最高経営責任者(CEO)は5月25日に開いた株主総会で、Kindleは読書専用端末を目指すとし、液晶カラーディスプレイに否定的な見解を示した。

 Kindleは、紙と同じように反射光を利用して表示する電子インクを採用しており、目に優しく、消費電力が少ないという特徴がある。Bezos氏は「カラーの電子インクは研究所でいくつか見たことあるが、まだ大量生産できる段階ではない」とし、Kindleに高品質カラーディスプレイが搭載されるのはまだ先になると説明した。

 一方で、米New York Timesの電子版は、Amazonがマルチタッチ機能を搭載するKIndleの試作機を開発中だと伝えている。Amazonは米TouchCoというタッチスクリーン技術の新興企業を買収している。また同社が液晶ディスプレイのエンジニアを募集していることから、Kindleの次世代版にはこうしたiPadのような機能が搭載される可能性があるとしている。