写真1●マイクロソフトの樋口泰行代表執行役社長
写真1●マイクロソフトの樋口泰行代表執行役社長
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写真2●ソフトバンク社長室の嶋聡室長
写真2●ソフトバンク社長室の嶋聡室長
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写真3●三菱総合研究所の小宮山理事長
写真3●三菱総合研究所の小宮山理事長
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 慶応義塾大学三田キャンパスで、全小中学校へのデジタル教科書とデジタル端末の導入実現を目指す「デジタル教科書教材協議会」の設立準備会が2010年5月27日、開催された(関連記事)。協議会の発起人であるマイクロソフトの樋口泰行代表執行役社長(写真1)は、「タッチパネルなど、最新のユーザーインタフェースを採用したデジタルデバイスは、子供の思考力、表現力を高める」と述べ、デジタル教科書の必要性を強調した。

 デジタル教科書教材協議会は、立命館大学教育開発推進機構の陰山英男教授、NPO法人CANVASの川原正人理事長、三菱総合研究所の小宮山宏理事長、ソフトバンクの孫正義代表取締役社長、慶応義塾大学メディアデザイン研究科の中村伊知哉教授、マイクロソフトの樋口社長、東京学芸大学の藤原和博客員教授の7人が発起人となり、7月27日に設立される予定のコンソーシアム。全国すべての小中学校に1人1台のタブレットPCやインターネット端末を導入し、授業でデジタル教科書を利用できる教育環境の実現を目指し、課題整理、政策提言、ハードウエア・ソフトウエアの開発、実証実験を行う。5月25日時点で、30社が同協議会への入会を表明している。

 樋口社長は、「今ビジネスの現場では、頭にどれだけ多くの情報がインプットされているかも大事だが、ITを利用してどれだけ早く有益な情報を引き出しせるかがより重要だ。従って、これからの教育は、暗記よりも情報を引き出すITリテラシー教育と、引き出した情報を分析する思考力の強化に重点を置くべきである。デジタル教科書の利用はこれらの能力向上に役立つ」と述べた。協議会の発起人であるソフトバンク孫社長の代理として登壇した同社社長室の嶋聡室長(写真2)も同様に、「現在の教育内容は暗記が7割、思考が3割といわれている。ITのある21世紀の教育では思考7割、暗記3割が望ましい」との考えを示した。

 協議会の今後の具体的な取り組みは未定だが、三菱総合研究所の小宮山理事長(写真3)は、「デジタル教科書の実現に向けて協議するだけでなく、実際に1教科分の教科書コンテンツを作成してどこかの学年に試験導入したい」と話した。