東京工業大学は2010年5月25日、同大学が2010年秋に稼働させる予定の次期スーパーコンピュータ「TSUBAME2.0」の構築をNECと米ヒューレット・パッカード(HP)の企業連合が受注したと発表した。TSUBAME2.0の論理最高性能は、現行機「TSUBAME1.0」の30倍となる2.4ペタフロップスで、世界最高水準になるとしている。

 TSUBAME2.0の正式名称は「クラウド型グリーンスーパーコンピュータTSUBAME2.0」で、国内外、産学官の様々なユーザーが利用できる設備であるという点(クラウド型)と、消費電力効率の高いプロセッサやSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)を使用することによる消費電力の少なさ(グリーン)を特徴としている。

 スパコンのアーキテクチャは、「ベクトル・スカラ混合型アーキテクチャ」である。スカラ演算を担当するのは、合計2900個の「Intel Westmere EP」「Intel Nehalem EX」(いずれも開発コード)プロセッサで、プロセッサコア数は約1万7000コア。ベクトル演算を担当するのは、米エヌビディアの「Fermi」(開発コード)を搭載する4200枚のグラフィックスボードで、グラフィックスプロセッサ(GPU)を汎用計算に使用する「GPGPU」を行う。GPUの演算コア(CUDA Core)数は約188万個。

 計算ノードは約1400台で、それぞれが80Gビット/秒のインフィニバンドネットワークで接続する。ストレージは、SSDと高密度ハードディスクの組み合わせで、最大容量は7ペタバイト。OSとしてはLinuxと「Windows HPC Server」が利用可能。

 スパコンを運用するデータセンターでは、温度や電力の監視・制御を細かい粒度で行うようにするほか、計算ノードの冷却に水冷技術などを適用することで、電力使用効率(PUE:Power Usage Effectiveness)は「1.277」になる予定としている。