2010年5月18日に開催されたNTTドコモの携帯電話の夏モデルの発表会の最後に、目を引く発表があった。NTTドコモの山田隆持社長が自ら、バッファロー製モバイルWiFiルーターを手にして、6月下旬に発売するとのコメント付きで紹介したのだ。同時に紹介した韓国サムスン電子製Android端末(関連記事)と同様、正式発表前の「顔見せ」という位置付けであったが、事実上の製品発表となっていた。
モバイルWi-Fiルーターはエヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォームとバッファローが共同開発した。バッファローのWebサイトによれば製品名は「ポータブルWi-Fi」である。詳細は、「今月25日の発表会で明らかにする(説明員)としており、機能の詳細はまだ分からない。ただ、発表会場の展示パネル、説明員の話、バッファローのWebサイトの情報を組み合わせると、以下のようになる。
このモバイルWiFiルーターは、重量105gと軽量ながら、連続動作時間は6時間と長い。接続できる機器は6台まで。外出先の3G(第3世代携帯電話ネットワーク)回線だけでなく、自宅のインターネット接続回線や、公衆無線LANもルーティングの対象となる。したがって、携帯型ゲーム機などWiFiの設定変更が面倒なモバイル機器を、同じ設定のまま使うという利用方法が可能である。
NTTドコモは、今回の発表会で、このモバイルWiFiルーターにも適用される「定額データプラン」割引キャンペーンを発表している。契約後から1年間、月額利用料金の上限額を1575円割り引いて月額4410円(税込み)で利用可能になるというものだ(発表資料)。これは、ソフトバンクがiPhoneユーザーに適用している「パケット定額フル」のキャンペーン価格と同じ料金設定である。
NTTドコモの回線を利用できるモバイルWiFiルーターの発売と、通信料金のキャンペーンは、複数のモバイル機器を持ち歩くユーザーから歓迎されるだろう。今回の発表の背景には、イーモバイルのモバイルWiFiルーター「Pocket WiFi」の売れ行きが好調なことや、日本通信がSIMフリーのモバイルWiFiルーターの市場投入を予告していること、また米Appleの「iPad」の国内発売によりモバイルWiFiルーターの需要が急拡大すると見込まれることがあると思われる。