写真●米MDMインスティチュートのアーロン・ゾーン チーフ・リサーチ・オフィサー
写真●米MDMインスティチュートのアーロン・ゾーン チーフ・リサーチ・オフィサー
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 「企業はMDM(マスターデータマネジメント)を実践し、顧客サービスの競争力を高めることが必要だ」。2010年5月18日に東京・目黒で開催した「MDM Summit Tokyo 2010」の基調講演で、米MDMインスティチュートのアーロン・ゾーン チーフ・リサーチ・オフィサー(写真)はこのように語った。

 ゾーン氏は「サービスの満足度を高めるには、顧客に『この会社は私のことを理解している』と思わせなくてはならない」と語り、「MDMを実践して複数のシステムの顧客マスターを連携すれば、顧客から住所変更や結婚など個人情報の変更が伝えられた場合に、どの部署で対応したとしても変更を漏らさずマスターに反映できる。これにより顧客の状況に合わせたサービスの提供が可能になる」と続けた。

 顧客情報が常に最新で正確なものになれば「その顧客に違う商品を勧めるクロスセルや、より高価な商品を販売して顧客単価を高めるアップセルがやりやすくなる。また、収益性の高い顧客を維持するために投資をして、収益性の低い顧客には見切りをつける、といった戦略を早めに採用することもできる」(ゾーン氏)。

 MDMを実践する際の注意点としてゾーン氏が挙げたのが、「自社でスクラッチでシステムを開発するより、ソフトベンダーのパッケージを使ったほうがコストを抑えられる傾向がある」ということだ。パッケージを使う場合は、「SAPは製造業、IBMは金融業など、パッケージベンダーによって得意不得意がある。1社の製品をすべての用途に使うのは難しいので、複数の製品を使い分けるのが現実的だ」(ゾーン氏)とした。