米Microsoftと米VirnetX Holdingは米国時間2010年5月17日、両社間で争われていた特許侵害訴訟が和解に達したことを明らかにした。MicrosoftはVirnetXに2億ドルを支払い、VirnetXのVPN(仮想プライベートネットワーク)関連特許を自社製品に利用するためのライセンスを取得する。その他の詳細な和解条件については明らかにしていない。

 VirnetXは2007年2月にMicrosoftを特許侵害で提訴した(関連記事:ソフト・ベンダーのVirnetX,MicrosoftをVPN関連の特許侵害で提訴)。安全なVPNの構築手段に関する特許(米国特許番号「6,502,135」)と、安全なドメイン名サービスを利用してVPNを構築する手法に関する特許(同「7,188,180」)をMicrosoftに侵害されたとして、損害賠償の支払いと特許技術の使用禁止を求めた。米テキサス州東地区連邦地方裁判所は2010年3月16日、Microsoftによる特許侵害行為を認め、1億575万ドルの支払いを命じる判決を下した(関連記事:VPN特許侵害でMicrosoftに1億575万ドルの支払い命令)。

 VirnetX会長兼最高経営責任者(CEO)のKendall Larsen氏は、「今回の和解は、当社の安全なドメイン名サービスに関する取り組みのニーズを強調するものだ。Microsoftとの係争が解決したことで、当社は自動VPN技術のパイロットシステム構築に集中できる」と述べた。

 またMicrosoftコーポレート・バイス・プレジデント兼法務顧問代理のTom Burt氏は、「VirnetXとともに、和解を通じた解決を導き出すことができて満足している。VirnetXが引き続き発展し、同社技術を開発することを期待している」とコメントした。

 米メディア(Wall Street Journal)によると、VirnetXは3月に地裁の判決が出た直後に、今度は「Windows 7」および「Windows Server 2008 R2」を対象に同様の特許侵害訴訟を起こしていた。

 和解に伴い、両社はそれぞれ訴えを取り下げる。2億ドルというライセンス料は、VirnetXにとって莫大な金額だ。VirnetXの2009年の売上高は2万6306ドルで、1308万2751ドルの赤字を計上した。同社は米国で12件、米国外で8件の特許を取得している。

[発表資料(Microsoftのプレスリリース)]
[発表資料(VirnetXのプレスリリース)]