NECが参考展示している写真の解析システム。画面右の写真一覧から1枚を選び「Analyze」ボタンを押すと、写真の特徴を抽出し類似検索して適切なタグを付与する。画面左に移っている花見の写真は、類似度94%で「桜」のタグを付与している
NECが参考展示している写真の解析システム。画面右の写真一覧から1枚を選び「Analyze」ボタンを押すと、写真の特徴を抽出し類似検索して適切なタグを付与する。画面左に移っている花見の写真は、類似度94%で「桜」のタグを付与している
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写真解析の履歴。複数の料理皿が並んだ写真を「花火」と誤認識するといったケースもあるものの、大半の写真は適切と思われるタグを付与していた
写真解析の履歴。複数の料理皿が並んだ写真を「花火」と誤認識するといったケースもあるものの、大半の写真は適切と思われるタグを付与していた
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 NECは、写真に写った風景や物体などの情報を解析し、内容に合ったタグを自動的に付与していく技術を開発した。ユーザーが撮影した多数の写真を手間を掛けずに分類し、後で検索しやすくする。プログラムや解析用データベースの容量が小さく、携帯電話などの小型機器に実装し、アプリ単体で動作するスタンドアローン型の処理ができる点が特徴。同社は、東京都内で2010年5月12~14日に開催されている「組込みシステム開発技術展」(ESEC)の同社ブースで、同技術を使用した写真の解析システムを実演展示している。

 同技術では、写真全体で色の構成、色の配置、輪郭の3点について特徴を抽出し、撮影日時の情報も取り込んで類似検索用のデータを作成する。あらかじめ入力したいくつかの写真を基に「桜」「花」「花火」「紅葉」「黄葉」「雪」「風景」「夕焼け」「夜景」「料理」といったタグを定義付けておく。その上で、新規に入力された写真について、既存のタグ付き写真の特徴と比較し、各タグごとに類似度を0~100%で判定していく。1枚の写真に複数のタグを付与することも可能。類似検索用のデータベースは写真が入力されるごとにデータを追加する仕組みとなっており、写真の枚数が増えるにつれ学習度も上がり誤差を小さくできるとする。

 開発した技術の詳細については明らかにしていないが、毎秒100万回の頻度で類似検索を実行できるとするなど、軽量で高速であることを特徴に挙げる。「類似検索用のデータ量が小さいため、処理性能の低いCPUしかなくメモリー容量も小さい携帯機器にも実装できる」(NECの説明員)。また、指紋認証や顔認識のようにデータが定型でなくても判定可能なことを特徴に挙げる。「20~30種類程度のタグであれば、高精度に判別できる」(説明員)とする。人物が中央に大きく写っているような写真でも、周辺領域の背景情報を基に判別可能という。

 今回開発した技術は、NEC製の携帯電話や、同社製パソコン「VALUESTAR」「LaVie」の一部機種にプリインストールされている写真管理ソフト「SmartPhoto」でも、同技術を活用しているとする。

 同社では今後、分類項目をより多様なものにしていくことを目指す。「風景や物体だけでなく人物の顔や動作も解析対象に加えて、『誰が』『どこで』『何をしている』といったタグ付けをできるようにしたい」(説明員)としている。