写真●記者会見で2009年度決算を説明するNTTの三浦社長
写真●記者会見で2009年度決算を説明するNTTの三浦社長
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 NTT(持ち株会社)は2010年5月14日、2009年度(2010年3月期)の決算を発表した。グループの連結決算は、売上高が10兆1814億円、営業利益は1兆1177億円となった。収益面では、音声収入の減少幅をIP系収入の増加でカバーできず、前年同期比で2.3%の減収となった。一方営業利益は、各事業会社の経費節減で営業費用を圧縮し同0.7%の増益。営業利益は2期連続で国内首位となったもようである。

 2010年度(2011年3月期)の業績予想は減収幅を0.2%にとどめて10兆1600億円を見込む。営業利益は473億円上乗せして1兆1650億円とする。金融危機以前の2007年度並みの利益水準を上回る予想である。

 中期経営戦略で重点的に進めている固定通信の光回線事業については、2010年度は210万件の純増、累計契約数1500万件以上を目指す。

 普及推進の主軸は料金引き下げではなく「光回線の利用シーンの拡大が重要。電子政府など公的なサービスの拡充に期待する」(三浦惺社長)との考えを示した。料金水準については、2011年度に光回線事業単体で黒字化する方針であるため、「単純な値下げはしない」(同)と改めて強調した。ただし、「インターネットをそれほど使わないユーザーにも利用しやすいように、(一定利用量まで基本料金を抑える)準定額制など色々な料金体系を検討している」と別料金体系の導入も示唆した。

 ブロードバンド利用率向上を狙って総務大臣が提唱している「光の道100%」構想に対しては、「ブロードバンドは光だけでなくCATVや無線も手段となる。これらの手段の競争によって利用率の向上を図るのが適切だ」(三浦社長)とした。光の道政策の検討課題の一つに上っている光回線部門の分社化については、「分社化が必ずしも普及の速度を上げるとは考えない。制度整備に時間がかかるし、回線敷設だけを事業としては成長のインセンティブや、技術のイノベーションも停滞する」(同)と、反対の考えを示した。

 今秋にも概要を公表する予定の加入電話網のIP化については「中継機能をIPに移行するという話で、メタル回線は残る。光の道政策とは別問題」(同)とした。

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