水晶デバイスメーカーの日本電波工業は2010年5月13日、IFRS(国際会計基準)に基づいて10年3月期の決算を発表した。金融庁は10年3月期から、会計基準にIFRSを採用することを認めており、日本電波工業がIFRS任意適用企業の第1号となる。09年3月期決算時点で顧客の約70%が海外にある日本電波工業は、02年3月期からIFRSに基づいた財務報告を作成し、英文のアニュアルレポートで公開していた。

 同社のIFRSに基づいた2010年3月期の売上高は525億9000万円(前年同期比11.5%減)、営業利益は39億7900万円(前期比なし)、親会社の所属者に帰属する当期利益が43億3700万円(同)、当期包括利益合計額が41億6700万円だった。

 IFRSを初めて適用する場合、比較可能性を担保するために前期の財務諸表を日本の会計基準とIFRSに基づいて表示しなければならないなどを定めた「初度適用」と呼ばれる規則がある。今回、日本電波工業は初めてIFRSに基づいた財務諸表を日本語で発表していたが、02年3月期からIFRSに基づいた財務諸表は作成していたため「初度適用には該当しない」としている。「参考」として09年3月期と10年3月期のIFRSと日本基準の差異の比較を発表した。

 同社は10年2月、10年3月期のIFRSの任意適用に向け、富士通システムソリューションズ(Fsol)の連結会計システム「GLOVIA/SUPER COMPACT Pathfinder」を利用して、IFRSに対応した体制を整えたと発表していた。