NECは2010年5月12日、2010年3月期の決算を発表した。売上高は前期比15％減の3兆5831億4800万円、営業利益は509億500万円と黒字転換した（前期は62億100万円の営業損失）。2011年3月期は、旧NECエレクトロニクス（ルネサステクノロジとの経営統合により、4月1日付でルネサスエレクトロニクスに社名変更）の非連結化により、96.4％の営業増益を見込む。旧NECエレクトロニクスの担う半導体事業（エレクトロンデバイス事業）は、2010年3月期に568億円の営業損失を計上している。
遠藤信博代表取締役執行役員社長（写真）は、「年間を通して外注費や人件費の圧縮に取り組んだ結果、計画比111％となる3209億円の固定費削減を達成した」と説明。固定費削減、および携帯電話やパソコンを含む「パーソナルソリューション」事業の利益改善、「エレクトロンデバイス」事業の損失圧縮が、2010年3月期の黒字転換要因だとした。
システム構築などの「ITサービス」事業は、国内IT企業の投資抑制により前期比6.9％の減収となったものの、営業利益は固定費の削減などにより33億円改善し593億円だった。サーバー、ソフトウエアを含む「ITプロダクト」事業は、21.5％の減収、11億円の営業損失となった。ITプロダクト事業の減収減益は「前期に大型案件を受注した反動によるもの」（遠藤社長）だという。
2011年3月期の売上高予想は、旧NECエレクトロニクスの非連結化により前期比7.9％減少の3兆3000億円（前期比7.9％減）。営業利益は、赤字が続く半導体事業の非連結化、サーバー製品などITプロダクト事業の黒字化、「ネットワークシステム」事業の利益伸長などにより、同96.4％増の1000億円を予想する。特にネットワークシステム事業では、「海底ケーブルシステムの復調による海外売上の増加や、国内キャリアのLTE（Long Term Evolution）やスマートフォン対応のための投資意欲回復に期待している」（遠藤社長）という。
