政府は2010年5月11日、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)の会合を開き、新しい情報通信技術戦略を決定した。「国民本位の電子行政」「地域の絆の再生」「新市場の創出と国際展開」の三つに重点を置く。

 新IT戦略では、この重点政策3本柱について具体的な施策と目標を設定した。

 「国民本位の電子行政」では、2013年までに国民ID制度を導入し、行政機関による運用状況を監視する第三者機関を創設するとした。民間IDとの連携についても可能性を検討する。

 2013年までに国民の50%以上がコンビニエンスストアや郵便局のキオスク端末を使って証明書発行サービスや申請手続きサービスを利用できるようにする。また2013年までに、政府が管理する自己に関する情報を国民がコントロールする仕組みを整える。2020年までに50%以上の地方自治体が管理する情報についても、同様の仕組みを構築する。

 二つ目の柱である「地域の絆の再生」では、2020年までにすべての国民が質の高い医療サービスを利用でき、学校教育や生涯教育を受ける環境を、情報通信技術を使って実現すると明記した。2015年ごろをめどに、すべての世帯にブロードバンドサービスを提供する。

 三つ目の「新市場の創出と国際展開」では、環境や医療分野において2020年までに約70兆円の関連新市場を創出する。また2020年までにスマートグリッドを一般化し、ITS(高度道路交通システム)などにより交通渋滞を2010年の半分に減らす。2013年まで産学官連携で集中的な研究開発を進め、国内のIT企業による主要な海外市場での知的財産権獲得や国際標準化推進を後押しする。

 政府は5月にも、この戦略に基づいた取り組みスケジュールを策定する予定である。