写真●富士通の山本正已社長
写真●富士通の山本正已社長
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 富士通は2010年4月30日、2009年度(2010年3月期)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比0.3%減の4兆6795億円、営業利益は同37.2%増の943億円だった。LSI事業の構造改革効果と、サーバーや電子部品などの事業でコスト削減を進めた結果が、大幅な増益につながった。

 同社のセグメントの中で最も大きな「テクノロジーソリューション」は、売上高が前年比1.4%増の3兆1210億円、営業利益は同19.2%減の1524億円だった。同セグメントは、ハードウエアやミドルウエアなどの「システムプラットフォーム」事業と、システム開発やアウトソーシングなどの「サービス」事業で構成する。

 それぞれの事業を見ると、「システムプラットフォーム」事業は、売上高が同6.0%減の6106億円、営業利益は同16.0%減の213億円となった。減収の理由としては、サーバー関連の売り上げが顧客の投資抑制や低価格化により落ち込んだこと、携帯電話基地局が更改のタイミングでなかったことなどがある。営業利益は、海外子会社の富士通テクノロジー・ソリューションズを100%子会社化した影響を除くと増益だった。

 「サービス」事業の売上高は同3.4%増の2兆5104億円、営業利益は同19.7%減の1311億円だった。システムインテグレーションの減収影響や退職給付費用の負担増などが響いた。

 テクノロジーソリューション以外のセグメントでは、パソコンや携帯電話などの「ユビキタスプロダクトソリューション」の売上高が前年比3.2%減の9187億円、営業利益は229億円で、前年同期から224億円増加した。主な増益の要因は、赤字だったHDD(ハードディスクドライブ)事業を譲渡したこと。

 半導体や電子部品などの「デバイスソリューション」は、売上高が前年比6.9%減の5472億円、営業損益は87億円の赤字で前年同期から631億円改善した。営業損益の改善はLSIの製造ラインの統合・集約、従業員の再配置などによる。

 富士通の山本正已社長は今後の業績目標について、「2011年度に過去最高の営業利益2500億円を達成するという昨夏に発表した目標は変えない。営業利益率については5%を目指す。真にグローバルなIT企業の仲間入りをするためには、達成が不可欠な数字だ」と述べた。