Siri Assistantの利用例
Siri Assistantの利用例
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 米Appleが米国時間2010年4月28日に、音声検索によるモバイルアプリケーションを手がける米Siriを買収した、と欧米の複数のメディア(米Bloomberg英Financial Times)が報じている。

 Siriは米カリフォルニア州サンノゼに本拠を置く新興企業。Bloombergの記事によると、同社で取締役を務めるShawn Carolan氏は、「Appleから提示された買収条件が魅力的だったため、経営陣や取締役会は受け入れることにした」とインタビューに答えたという。

 同社は「Siri Assistant」と呼ぶ、音声入力による地域情報サービスのアプリケーションを開発している。例えば、「今夜、イタリアレストランで2人分の席を探している」と話しかけると、レストラン予約サイトのOpentable.comから情報を取得して画面に表示する。また「近くのスターバックスまでの道順を教えて」と頼むと、米Yahoo!の地図サービスの情報を使って案内を始める。

 Siri Assistantは、Appleのアプリケーション販売/配布サービス「App Sore」で無料配布されており、スマートフォン「iPhone」のほか、メディアプレーヤー「iPod touch」とタブレット端末「iPad」に対応している。

 Appleは音声認識や自然言語技術に価値を見いだしており、このことは米Googleとの対立構図が鮮明になってきたことを示している、とFinancial Timesは報じている。こうしたタスク指向のモバイルアプリケーションはSteve Jobs最高経営責任者(CEO)のビジョンに一致するという。

 Jobs氏はiPhone OS新版の発表会で、「検索に最適なのはパソコンであり、モバイル端末ではない。ユーザーはモバイルで検索などしない。モバイル環境では、ユーザーはWebブラウザではなく、アプリケーションの中で時間を過ごしている」とし、Googleが推進するモバイルWeb検索を否定した(関連記事:iPhone、過去最高の販売実績、驚異的なAppleの成長に期待は高まるばかり)。

 なお、Appleはこの4月に、テキサス州オースチンの半導体メーカーIntrinsityも買収している。Apple広報担当のSteve Dowling氏は、「当社は小規模の技術企業を買収することがあるが、その目的や計画についてコメントはしない」と話している(関連記事:Apple、テキサスの半導体メーカー「Intrinsity」を買収--NYタイムズ報道)。

[AppleのWebサイト
[SiriのWebサイト