「Yahoo!モバゲー」の共同展開に向けた基本合意を発表した、ヤフー 代表取締役社長の井上雅博氏(左)とDeNA 代表取締役社長兼CEOの南場智子氏(右)
「Yahoo!モバゲー」の共同展開に向けた基本合意を発表した、ヤフー 代表取締役社長の井上雅博氏(左)とDeNA 代表取締役社長兼CEOの南場智子氏(右)
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パソコン向けソーシャルゲーム事業を展開する上で、双方の強みが相乗効果を生むとしている
パソコン向けソーシャルゲーム事業を展開する上で、双方の強みが相乗効果を生むとしている
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モバゲータウンの売上高と月間ページビューの推移。2009年秋以降の急成長はソーシャルゲーム事業の展開によるものという
モバゲータウンの売上高と月間ページビューの推移。2009年秋以降の急成長はソーシャルゲーム事業の展開によるものという
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米国・英国のソーシャルゲームサイトのユーザーは30代以上が多いこと、30代以上のユーザーはARPUが高いこと、Yahoo!ゲームのユーザーに占める30代以上の比率が高いことなどを背景に、Yahoo!モバゲーは高い収益力が見込めるとする
米国・英国のソーシャルゲームサイトのユーザーは30代以上が多いこと、30代以上のユーザーはARPUが高いこと、Yahoo!ゲームのユーザーに占める30代以上の比率が高いことなどを背景に、Yahoo!モバゲーは高い収益力が見込めるとする
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 ヤフーとディー・エヌ・エー(DeNA)は2010年4月27日、ユーザー同士の交流機能を備えたネットワークゲームである「ソーシャルゲーム」事業を共同展開することで基本合意したと発表した。DeNAが携帯電話向けに提供しているソーシャルゲームサイト「モバゲータウン」をパソコン向けに拡充し、Yahoo! Japanのサイト内で「Yahoo!モバゲー」として2010年晩夏をめどに開設する。

 Yahoo!モバゲーの展開に向け両社は、2010年初夏をめどにゲームソフト開発会社へ専用の開発ツールを提供する。携帯版のモバゲータウンで提供しているゲームをYahoo!モバゲーに移植したり、携帯版のゲームで途中まで遊んだ後にパソコン版の同一ゲームで続きを遊べるようにしたりする。また、ゲーム内課金の決済手段として「Yahoo!ウォレット」を使用可能にする。Yahoo!モバゲーの運営資金はゲーム内課金と広告収入でまかない、売り上げは「両社でシェアするほか、ゲーム開発者にも還元する」(ヤフー 代表取締役社長の井上雅博氏)とする。

 DeNAはモバゲータウンで約1800万人のユーザーを抱えるが、パソコン向けのソーシャルゲームサービスではほとんど実績がない。ヤフーはパソコン向けのゲームサイト「Yahoo!ゲーム」を自社運営しているが、「mixi」を運営するミクシィや「ハンゲーム」を運営するNHN Japanなどに差を付けられている。ヤフーとDeNAは、モバゲータウンの既存ソーシャルゲームをパソコン向けに移植しラインアップを充実させた上で、Yahoo! Japanなどのサイト内で集客を図ることで、Yahoo!モバゲーの会員獲得を図る考えだ。

 同日開催された報道関係者向けの説明会でDeNA 代表取締役社長兼CEOの南場智子氏は、共同展開の狙いについて「当社の売上高は2009年の第3四半期から急拡大しているが、その牽引役となったのがソーシャルゲームである。パソコン向けソーシャルゲーム事業については、米国や英国では30代以上のユーザー比率が高くなっている。また30代のユーザーはゲームサイト内でのARPUも高い。30歳以上のユーザーを多く持つヤフーと提携できることは大きな魅力」と語った。

 井上氏は「国内のソーシャルゲーム市場は携帯ゲームが主体で、パソコン向けの市場規模は今のところ小さいが、海外はパソコン向けを中心に市場規模が拡大しており、今後も高い成長を見込める。国内のパソコン向けソーシャルゲーム市場も今後伸びていくと見ている」と語り、パソコン向けのソーシャルゲーム市場を開拓する意義を強調した。

 パソコン向けのソーシャルゲーム市場で先行するミクシィやNHN Japanへの対抗戦略については、「パソコン向けのソーシャルゲーム市場はまだ黎明期なので、今後市場が拡大していくと考えている。その中でも我々は、抜きんでて大きいプレイヤーになりたい。ヤフーとモバゲーが組むことで規模を追求していく。また、ミクシィはリアルのコミュニケーションがベースにあるが、こちらはゲーム主体ということで違いが出てくると思う」(南場氏)としている。