2010年3月期の決算説明会に登壇したソフトバンクの孫正義社長
2010年3月期の決算説明会に登壇したソフトバンクの孫正義社長
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 ソフトバンクは2010年4月27日、2010年3月期の決算説明会を開催した。2009年度(2009年4月~2010年3月)の業績は増収増益で、連結売上高は前年比3.4%増の2兆7634億円。営業利益は同29.7%増の4658億円で、同社が連結決算を開始した1995年3月期以降、過去最高益を記録した。説明会には代表取締役社長の孫正義氏が登壇した。そこで行われた質疑応答の主な内容は以下の通りである。

先日ホワイトプランの内容を変更し、2年間契約者を縛ることになった。

 我々は2年しばりと料金プランを組み合わせることはおかしいと言ってきたが、NTTドコモやKDDIといった他社の慣行に倣った。携帯端末を2年割賦で買う人が多いので、実態は変わらない。

本日ヤフーとDeNAが提携した。その印象は。

 SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のユーザーは世界的に増えている。双方にとってWin-Winのシナリオだろう。ソフトバンクにとっても携帯電話の利用やインターネットの利用が進むため、歓迎している。

次世代PHSの通信方式にTD-LTEという方式を採用するとの報道があった。

 ソフトバンクは次世代PHSを扱う新会社の3分の1の株式を持っている。TD-LTEも検討の一つであるが、次世代PHSにおいてどのような通信方式を採用するかは確定していない。

2010年度第4四半期にDC-HSPAという通信方式を導入し、最大42Mbpsのデータ通信速度を提供するとの発表があったが、高速になった場合に多くのトラフィックを使うヘビーユーザーに対してトラフィック制限または料金の値上げを考えているか。

 世界中の携帯電話事業者がデータの無制限利用に強い危機感を抱いている。制限を超えたら、利用量に応じた高い料金プランという実質的な値上げ、またはトラフィック制限を検討している。ただし公衆無線LANやフェムトセルを活用し、ニーズに逆行しない方法を考えている。

SIMロックについて総務省がガイドラインを出すと言っているが、ソフトバンクの考え方を改めて教えてほしい。

 米国の第3世代携帯電話(3G)では80%にSIMロックがかかっており、残りの20%はSIMロックフリーだという。日本でもSIMロックの解除は強制ではなく推奨だと聞いているので、ソフトバンクも端末代金は高くなるがSIMロックを外したいという一部のユーザーのニーズには応えたい。ただしSIMロックを外したいユーザーは少ないため、経営に対するインパクトは小さいだろう。

 SIMロック解除は検討するが、KDDIは通信方式が異なるため、解除してもソフトバンクとNTTドコモの間でしか移動できない。LTE導入後ならSIMロック解除が可能と言うが、しばらくは1台の携帯電話機でLTEとW-CDMA、またはLTEとKDDIのCDMA2000のデュアルになる。この状況でSIMロックを解除しても使えるようにするには、1台の携帯電話機に3方式を入れる必要がある。コストは高くなるし、大きさはガマガエルのようになる、電池も持たない。メールもSMS(ショートメッセージサービス)以外は使えないといった問題点もある。

700M/900MHzの周波数再編施策について教えてほしい。

 700M/900MHzについてはこれから配布されるものである。どの周波数をどの企業が使うのかを議論する前に、どの周波数を何に使うのかを総務省は考えるべきだ。日本だけ世界の周波数から外れていては、日本の利用者にとって大変な被害になる。世界の中で貴重な800MHz帯をタクシー無線などのMCA無線に割り当てている国はない。さらにMCA無線を運営する財団法人のトップ3は総務省の元高官だという。利用者が数千万人の携帯電話に比べて、MCAは25万人しかいない。非効率だ。少数の委員が密室で割り当てを決めないようにしてほしい。