金融庁は2010年4月23日、「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」を発表した。金融庁は「IFRSに関して誤解を招く情報が流布されているとの指摘があることから、誤解があると思われる事例を集めたものである」としている。全20ページの文書で、IFRSに関する誤解とそれに対する回答を1ページでまとめている。今回、取り上げられた誤解は17項目ある。金融庁のWebサイトから無償で入手できる。

 17項目の内訳は、IFRSに関して幅広い項目を挙げた「全般的事項」が11項目、会計処理に関する項目を挙げた「個別的事項」が6項目である。全般的事項は「全面的なITシステムの見直しが必要か」「監査人の対応が厳しくなるのではないか」といった項目を、個別的事項では「IFRSは徹底した時価主義ではないのか」といった項目を用意している。

 全般的事項の「3.全面的なITシステムの見直しが必要か」では、「IFRSになると、ITシステムを含め、業務プロセス全般について全面的に見直さなければならない」という誤解を、「既存システムの全面的な見直しは必要ない」と否定している。その上で「IFRSを適用するための必要な範囲内で、システムの見直しを行えばよい」という解説を加えた。

 このほか全般的事項では「非上場企業にもIFRSは適用されるのか」「監査人の対応が厳しくなるのではないか」「英語版IFRSを参照する必要があるのか」といった項目がある。

 個別的事項では、時価主義のほかに「工事進行基準は認められなくなるのか」「減価償却に定率法が利用できなくなるのか」といった項目を用意。工事進行基準については「複数の指標を総合的に勘案して、財やサービスに対する支配が工事の進捗に対して移転しているのであれば、工事進行基準が適用できる方向で検討中」との見解を示している。

 金融庁はJ-SOX(日本版SOX法)の際にも、誤解に回答する文書やQ&A集を発表している(関連記事)。J-SOXと同様にIFRSの適用についても、類似の文書が金融庁から出てくる可能性がありそうだ。