アイシロン・システムズの関根悟取締役
アイシロン・システムズの関根悟取締役
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 「既に世界で60社が、VMwareの仮想サーバーを運用するストレージとして、スケールアウト型のNASを使っている」――。スケールアウトNASを販売するアイシロン・システムズの関根悟取締役は2010年4月14日、「仮想化フォーラム2010」でこのように紹介した。

 仮想サーバーの起動ディスクファイルなどを保存するストレージとしては、SAN接続の大型ストレージ装置(RAIDディスク)を使用するのが一般的だ。RAIDディスクは、ストレージきょう体内のハードディスクを増やすことで容量を増やす「スケールアップ型」である。それに対してアイシロンが販売する「Isilon IQ」は、ノードを追加することで容量を増やす「スケールアウト型」。このIsilon IQを、仮想サーバー用のストレージとして使用する例が増えているのだという。

 Isilon IQは、RAIDコントローラーを搭載していない。その代わりに、データをブロックに分割した上で、ノードをまたいでミラーリングしたりパリティ付きストライピングしたりして保存する。RAIDがディスク単位でミラーリングやストライピングするのに対して、Isilon IQではノード単位となる。パリティを最大4つ設定できるため、最大で4ノードに障害が発生してもデータを保護できる。

 仮想サーバーのストレージとしてスケールアウトNASを使うメリットは、拡張性と管理性にある。Isilon IQはノードを追加するだけでストレージ容量を増やせるため、仮想サーバーの運用を小さく始め、仮想サーバーの台数が増えてきたら、それに合わせてストレージを増強できる。「スケールアップ型の場合、初期はディスク容量が大幅に余ったり、容量が足りなくなった場合にストレージを買い直す必要がある」(関根氏)のに比べて、柔軟な運用が可能になる。

 またIsilon IQは、最大144ノード、10Pバイトのストレージを、単一のボリュームとして運用できる。ノードはラックにマウントして配線をした後、フロントパネルのボタンを押すだけで追加できる。ノードの追加後は、データがノードごとに平準化されるため、どこかのノードだけ使用率が高まるといったことがない。ボリュームやノードの管理が容易であるため、管理性が高いという。

 スケールアウトNASはこれまで、主にファイルサーバーとして使われていた。だが、アイシロン・システムズは1年前に「VMware Ready」の認証プログラムを取得し、仮想サーバー向けに販売を始めた。その後1年で、60社の顧客を獲得したという。同社の関根氏は、「仮想化技術の導入によって、サーバーの運用をスケールアウトできるようにしたら、次はストレージをスケールアウトする番だ」とアピールした。