米Double-Take Software エバンジェリストの渡辺浩志氏
米Double-Take Software エバンジェリストの渡辺浩志氏
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 2010年4月14日、都内で開催された「仮想化フォーラム2010」に、米Double-Take Software エバンジェリストの渡辺浩志氏が登壇。仮想化環境の課題とその解決策について講演した。

 仮想化環境には、大きく3つの課題があると渡辺氏は考える。

 1つめは、物理環境から仮想化環境への移行に伴うシステムのダウンタイムだ。同社のアンケート調査によると、移行作業に24時間以上のダウンタイムを許容できると回答した企業は全体の10%にとどまり、60%以上の企業は4時間以内と答えた。「稼働日はシステムを止められないため、土日や深夜を利用し、何カ月もかけて移行しているのが実態だ」と渡辺氏は話す。

 課題の2つめは、仮想化後のデータ保護である。渡辺氏は、「仮想化によってリソースは集約されるが、データは減らない。そのため、バックアップ時のハードウエアやネットワークへの負荷が増大する」と指摘。システム管理者は、運用を根本的に見直す必要に迫られるとしている。

 3つめは、仮想化環境の災害対策だ。特に、地震が多い日本国内では、遠隔地に待機系のサーバー環境を構築して、重要なデータやシステムを二重化することが望ましい。だが「現状では、有事にしか使われないとしても、待機系サーバーのハードウエア要件を高価な本番系サーバーと統一しなくてはいけない。このため、予算の関係で災害対策をあきらめてしまう企業が多い」(渡辺氏)という。また、「お金をかけて待機系サーバーを導入しても、災害時に有効に稼働するかどうかをテストするのが困難であるという問題もある」(渡辺氏)。

 これら3つの課題を解決する方法の一つとして、渡辺氏はDouble-Take Softwareのサーバー運用ソフトウエア「Double-Take」を挙げる。このソフトを利用すると、物理環境/仮想環境を問わず、運用サーバーのOS、アプリケーション、データをリアルタイムで別サーバーへ複製(レプリケーション)できる。環境移行時や災害発生時などに運用サーバーが停止した場合は、別サーバーの環境を利用してシステムを継続運用できる。そのほか、リアルタイムバックアップや重複排除など、バックアップを効率化する機能を搭載する。「帯域制御機能やデータ圧縮機能を備え、運用サーバーから別サーバーへの通信、およびバックアップには、LANだけでなくWANも利用可能」(渡辺氏)という。