米レッドハット バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャのスコット・クレンショウ氏
米レッドハット バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャのスコット・クレンショウ氏
[画像のクリックで拡大表示]

 「高い信頼性が求められる東京証券取引所(東証)の取引システムにRed Hat Enterprise Linux(RHEL)が採用されている。これは東証並みの高い信頼性が求められるシステムをクラウド上でも稼働させ得ることを示すものだ」。

 4月14日に都内で開催された「仮想化フォーラム2010」でこう話すのは、米レッドハットでクラウド事業を統括するスコット・クレンショウ氏(バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャ)だ。

 クレンショウ氏は、RHELで培ったノウハウを組み込んだクラウドの基盤製品「Red Hat Enterprise Virtualization(RHEV)」などを手がけている。「RHELは東証をはじめとして、世界の証券取引所の半数で採用されている。そのRHELと同等の信頼性・可用性をクラウドのソフトウエア基盤として提供できる」と、クレンショウ氏は説明する。

 RHEVの特徴は、マルチテナントの環境で使えることに加え、稼働アプリケーションごとにリソースをきめ細かく割り当てられる。また、トランザクションやデータをOSのカーネルレベルでテナント別に管理することで、セキュリティを確保できる点をクレンショウ氏は強調した。

 クレンショウ氏はさらに「RHEVは、RHELと同じくオープンソース、オープンスタンダードを基にしている。ユーザーは柔軟性を持ったクラウドを利用できるようになる」と続ける。

 オープンスタンダードの例としてクレンショウ氏が挙げるのは、VMwareやHyper-Vの仮想マシンイメージを業界標準のインタフェースを使ってRHEV上に変換する機能だ。RHEVで構築したクラウドは、このインタフェースを使うことで仮想マシンの配置や移動を自由に行えるという。「クラウドにするために基盤をすべて入れ替える必要はない。今まで管理してきた環境を生かしてクラウドを構築できる」(クレンショウ氏)。

 米国ではすでにRHEVを採用したクラウドの事例が出てきている。クレンショウ氏が紹介したのは、米IBM、映画・アニメーション製作で有名な米ドリームワークス、米国防総省。このうち、ドリームワークスでは、CGの制作などで必要な数万台規模のコンピュータリソースを、クラウドで提供しているという。

 「これまでに類を見ない高いパフォーマンスが求められるクラウドだが、当社の製品で厳しい要求を満たせている」と、クレンショウ氏は自信を見せる。