ヴイエムウェア マーケティング本部長の篠原克志氏
ヴイエムウェア マーケティング本部長の篠原克志氏
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 「日本での仮想化技術の普及は米国の3年から5年遅れ。これまではこう言われてきたが、ここ最近は米国にほぼ追いついている」。ヴイエムウェアの篠原克志氏(マーケティング本部長)は都内で行われた「仮想化フォーラム2010」で、このような見解を述べた。

 その背景には、国内のユーザー企業でサーバー仮想化技術の採用が非常に増えてきたことがある。VMware Infrastructure 3を採用した事例として、基幹システムを含む事務系サーバー約100台を仮想化したデンソー、社内向けWindowsサーバーを標準で仮想環境対応にすることを決めたちば興銀などを、篠原氏は挙げた。

 米国に追いついた日本の現状を踏まえ、篠原氏は「普及している仮想化技術のメリットをさらに得るには、運用管理の効率化にも利用していくことが欠かせない」と指摘する。

 これまでにユーザー企業がサーバー統合を進めた結果、仮想化環境で稼働する物理サーバーが急速に増えている。「今後は、仮想化した複数の物理サーバーを統合管理することで、サーバーリソースの利用効率をより高めたり、消費電力を抑えるといった運用をすべきだ」(篠原氏)という。

 こうした課題は、運用中の仮想サーバーを動的に物理サーバー間に移行する技術であるVMotionを使うことで解決できる。サーバーリソースの利用効率を高めるために、高負荷になった仮想サーバーの処理を負荷の低い物理サーバーに移動させることが可能だ。

 消費電力の抑制についても、仮想化環境全体で負荷が下がったとき、負荷が低い物理サーバー上の仮想サーバーをVMotionで別の物理サーバーに移動させ、移動元サーバーの電源をオフにする。これにより物理サーバーの消費電力を抑えられる。

 このほか篠原氏は、「現在進んでいるサーバーの仮想化だけでなく、VMware Viewのような製品でデスクトップ環境も仮想化するとよい。ユーザーはデバイスを選ばずに社内システムにアクセスできるし、システム管理者も情報漏えい対策を講じやすくなる」と話す。国内でも金融機関を中心に、デスクトップ環境を仮想化する取り組みが進んでいるという。

 今後のヴイエムウェアの取り組みとして、篠原氏は「プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方のメリットをユーザー企業が得られるような製品、サービスを提供していく」と語る。具体的には、プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方を管理できる製品や、関連するSaaSサービスを開発・拡充していくという。