米Appleは米国時間2010年4月8日、米カリフォルニア州クパチーノの同社で開催したイベントで、次期iPhone OS「iPhone OS 4」を披露した。100以上の新機能を搭載する過去最大のソフトウエアアップデートで、開発者には1500以上の新たなAPIを提供するとしている。

 iPhone OSはスマートフォンの「iPhone」、携帯メディアプレーヤー「iPod touch」、米国で販売が始まったタブレット型端末「iPad」で動作するOS。iPhoneとiPod touch向けのソフトウエアアップデートは今夏に、iPadには今秋に提供する予定。iPhone開発者プログラムメンバーには同日から新OSのベータ版とSDK(ソフトウエア開発キット)の配布を始めた。

 iPhone OS 4には、複数のアプリケーションを同時に起動できるマルチタスク機能、アプリケーションアイコンのフォルダ機能、iPadで用意している電子書籍リーダーアプリケーション「iBooks」などを追加した。

 マルチタスク機能は、7つのマルチタスクサービスを開発者に提供する。サードパーティーのアプリケーションに容易に追加できるという。例えばバックグラウンドで音楽再生が可能になる。これによりネットラジオのアプリをバックグラウンドで利用するということが可能になる。またVoIPアプリであれば、iPhoneがスリープしていたり、ユーザーがほかのアプリを利用していたりするときでも通話を受けられるようになる。バッテリー消費電力を抑え、前面のアプリのパフォーマンスを維持するよう配慮した。

 アプリケーションアイコンのフォルダは、iPhoneなどで増え続けるアイコンを容易に整理できるようにする。ドラッグ&ドロップで新規フォルダを作成したり、フォルダ名を「App Store」のカテゴリをベースに自動で付加したりするといった機能を備える。

 メールアプリケーションにも改良を施した。複数アカウントのメールを一括して閲覧できる「Unified Inbox」を設けたほか、メールのスレッド機能、添付ファイルをサードパーティーのアプリで開くといった機能を追加した。

 iPhone OS 4では、新たに開発者がアプリ内に広告を表示できるようにする広告プラットフォーム「iAd」を用意する。アプリ内にフルスクリーンの映像やインタラクティブな広告コンテンツを挿入できるようになる。これまでのモバイル広告と異なり、ユーザーが広告主のWebサイトに移動することなく、いつでもアプリに戻れる仕組みをとった。このiAdにより、開発者には新たな収益源が、広告主には新たな広告メディアがもたらされるとAppleは説明している。

 このほか企業向けには、データ保護、アプリ配信管理、端末管理などの機能を用意し、セキュリティ、拡張性、互換性を高めた。

 なお端末によっては、iPhone OS 4の一部の機能が利用できない。Appleの説明によれば、マルチタスクが利用できるのは、第3世代iPhone「3GS」と第3世代のiPod touch(2009年後期モデル、32GBまたは64GB)。

[発表資料]