米iSuppliは現地時間2010年4月7日、米Appleのタブレット端末「iPad」の実機を分解して調査した原価分析結果を発表した。それによると、希望小売価格が499ドルの16Gバイト・モデル(3G非対応)は、部品原価が250.60ドル、製造コストを含めると259.60ドルになった。

 ディスプレイやタッチスクリーンなどのユーザーインタフェース関連の部品の合計は109.50ドルで、全部品に占める割合は43.7%だった。「従来の電子機器とは大きく異なる部品構成だ」とiSuppliは指摘する。iSuppliディレクター兼主席アナリストのAndrew Rassweiler氏は、「iPadはコンピューティング、無線通信、消費者の世界を大きく変える可能性を持った製品だが、電子機器の設計手法の分野ではすでに変革をもたらしている」と述べている。

 「新たなパラダイムだ。従来のノートパソコンはマザーボードを中心に設計されている、iPadは、ヒューマン・マシン・インタフェースを中心とした設計だ。プリント基板や集積回路は、すべてコンテンツの表示や、ユーザーの入力を円滑にするために配置されている」(同氏)

 単体で最も高い部品はディスプレイで、その推定原価は65ドル。部品全体の25.9%を占める。液晶パネルの駆動方式はIPS(In-Place-Switching)を採用しており、広い視野角で映像コンテンツを楽しめるよう配慮しているという。 iSuppliが分解した実機のディスプレイ供給メーカーは韓国LG Displayだった。

 次に高い部品はタッチスクリーンで、原価は30ドル。全体の12%を占める。供給メーカーは台湾Wintekだった。分解した16Gバイト・モデルは韓国Samsung Electronics製のフラッシュメモリーを搭載しており、その原価は29.50ドル。またTDK傘下の香港Amperex Technology製のバッテリーの原価は21ドル、A4プロセッサとGPU(Samsung製)の原価は19.50ドルと推定している。

 このほか米Broadcom製の無線LAN、Bluetoothチップ(8.05ドル)、Broadcom製タッチスクリーン・コントローラ(2.30ドル)、ドイツDialog Semiconductor製電源管理チップ(2.10.ドル)、米Texas Instruments製タッチスクリーン・ドライバ・チップ(1.80ドル)を搭載していた。

 なおiSuppliが発売前の製品を“仮想分解”して行った先の分析では、部品原価が219.35ドル、製造コストを含めた場合は229.35ドルになるとしていた(関連記事:AppleのiPad、32Gバイト・モデルの推定原価は287.15ドル---iSuppli試算)。今回の調査では、ディスプレイ、バッテリー、ユーザーインタフェース・コントローラ、電源管理チップのコストが先の予測値より上回ったと説明している。

[発表資料]