写真●DAISYコンソーシア 河村宏会長(右)とマイクロソフト 最高技術責任者の加治佐俊一氏(左)
写真●DAISYコンソーシア 河村宏会長(右)とマイクロソフト 最高技術責任者の加治佐俊一氏(左)
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 マイクロソフトは2010年4月6日、Wordで作成した文書をDAISY(Digital Accessible Information System)形式のファイルに変換するWord用アドインソフトウエアを発表した。同日から無償提供を開始する。DAISYの規格を策定するDAISYコンソーシアム、および日本障害者リハビリテーション協会と協力して開発した。DAISYは、テキストの音声読み上げなどを可能にするXMLベースの電子書籍ファイルフォーマットで、視覚障害者や読字障害者に広く利用されている。

 DAISY形式のファイルは、テキストの音声読み上げや読み上げている部分のハイライト表示、文字の拡大、色の反転が容易に行える。そのため、「印刷物を読めない全盲の人や、大きな文字や特定の色で読みたい弱視の人、視覚から文字情報を理解することが難しい読字障害の人など、印刷された書籍を読むことが困難な人へ読書機会を提供する上で大変有効だ」(DAISYコンソーシアム 河村宏会長、写真右)。

 今回発表したWord用アドインソフトウエアは、Wordで作成した文書を簡単にDAISY形式に変換する。オープンソース・ソフトウエアで、Word 2007/2003/XPに対応する。これまで、DAISY形式のファイル作成にはXML言語などの知識が必要だったが、同ソフトを使うことで、Word上の操作だけでDAISYファイルを作成できるようになる。

 さらに、SAPI(Speech API)に対応した音声合成エンジンと組み合わせることで、音声読み上げ機能付きのDAISYファイルを自動作成できる。マイクロソフト 最高技術責任者の加治佐俊一氏(写真左)によると、Windowsに標準では音声合成エンジンを搭載していないが、視覚障害など音声合成エンジンを必要とするユーザー向けに無償提供しているという。