情報通信審議会 情報通信技術分科会は2010年4月5日、「携帯電話等周波数有効利用方策委員会 700/900MHz帯移動体通信システム作業班」の第6回会合を開催した。今回は委員会から検討指示が出ていた、「周波数再割り当ての可能性」「周波数の国際協調とコストとの関係」「携帯電話事業者のトラフィック予測」などの事項について作業班の下にアドホックな検討の場を設置するなどして検討していたが、そこでの検討結果が示され了承された。

 それによると、再編できる周波数帯がないことや、トラフィックのひっぱく度合いからすぐに割り当てを望む携帯電話事業者が多いこと、国内メーカーが700/900MHzのペアを希望し、周波数の国際協調とコストの関係は薄いと回答したことから、構成員の多くから「大がかりな周波数再編はせず、700/900MHzをペアで使う方向になった」という声が聞かれた。

 まず「周波数再割り当ての可能性」の回答として、作業班の事務局である総務省から隣接するシステムの利用状況や今後の廃止・移行が報告された。主任である電波産業会の若尾正義氏は「この内容を見ると空きそうな周波数帯はないということですね」と発言したように、内容は「どのシステムも十分利用されている」「廃止や移行の予定はない」というものだった。

 携帯電話事業者のトラフィック予測では、ソフトバンクモバイルやイー・モバイル、UQコミュニケーションズの3社が利用可能になる2012年7月にも周波数帯がひっ迫するとして、できるだけ早期の電波割り当てを希望すると回答した。800MHz帯の割り当てを受けているNTTドコモは明確な時期を答えず、KDDIは2015年以降とした。

 「周波数の国際協調とコストとの関係」は国内メーカー6社(京セラ、シャープ、パナソニック、日立製作所、NEC、富士通)が連名で回答し、「周波数は700/900MHzをペアでつかう選択肢の実現性が最も高い」とし、700/900MHzのぞれぞれでペアで使うなど国際協調した場合は「影響範囲が電波の送受信機部分だけであり、端末全体から見ればそのコストダウン効果は限定的」という見方を示した。その一方でクアルコムジャパンら外資系メーカー4社は具体的な数字を示しながら、「端末の製造台数が多ければ端末コストも安くなる。周波数の国際協調がなければ端末コストの増大だけでなく、モバイルサービスも縮退する」と訴えた。

 検討結果は4月13日の携帯電話等周波数有効利用方策委員会で報告され、同委員会で引き続き審議する予定である