12月期決算企業の内部統制報告書が出そろい、財務報告について内部統制が有効でないことを示す「重要な欠陥」を7社が開示した。加えてJ-SOX(日本版SOX法)対応が終了しなかったなどの理由で、監査法人が内部統制報告書に対する監査意見を表明しない「意見不表明」を開示した企業が3社あった。J-SOXでは決算日から90日以内に内部統制報告書を提出することを定めている。

 重要な欠陥を開示した7社は、C&Gシステムズ、アップルインターナショナル、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、佐渡汽船、デザインエクスチェンジ、プラネックスホールディング、美樹工業。内部統制報告書に対する監査意見の不表明を開示した3社はディー・ディー・エス、DPGホールディングス、山水電気。

 財務諸表監査の過程で監査人から誤りを指摘されたのが、C&Gシステムズ、アップルインターナショナル、デザインエクスチェンジ、プラネックスホールディング、美樹工業の5社。

 生産管理システムなどを手がけるC&Gシステムズと建設業の美樹工業、ネットワーク関連機器や外国為替証拠金取引業(FX)などを傘下に持つプラネックスホールディングの3社は、見積もりの誤りなどを監査人から指摘された。美樹工業は子会社で見積もりに誤りがあった。中古車販売のアップルインターナショナルは連結決算時の修正仕訳やキャッシュフロー計算書の金額の間違いを指摘された。デジタルコンテンツのデザインエクスチェンジは「決算・財務報告プロセスの連結財務諸表および財務諸表の作成に関する会計処理および開示について、監査人より複数の指摘を受けて修正した」としている。

 佐渡島向けのフェリー運行などを手がける佐渡汽船は「全社的な内部統制に不備が存在する」ことを重要な欠陥を開示した理由として挙げている。同社は全社的な内部統制の評価手続きが終了しなかった。理由として、間接部門を含めた人員の削減や、経営改善計画に基づく企業再編が続いていたことなどを挙げている。

 オンラインゲーム大手のガンホー・オンライン・エンターテイメントは、2009年12月に発覚した子会社の不適切な退職慰労金の支払いを受けて「財務報告に係る重要な問題が生じた」と開示した。子会社において、「コンプライアンス(法令順守)教育や内部通報制度の運用が不十分であった」などの不備があったとしている。同社は内部統制報告書を提出する前に、「内部統制が有効でなかった旨、報告を予定している」と適時開示で開示していた。

 監査意見不表明を開示した3社はいずれも、内部統制の整備・運用状況について意見を表明しなかった。

 2010年3月31日までにJ-SOX初年度として重要な欠陥を開示した企業は、累計94社(「不備があり、内部統制は有効でない」と開示した1社を含めると95社)となった。3月31日までに内部統制報告書を提出した企業は累計3504社で、重要な欠陥を開示した企業の割合は約2.7%となる。評価手続きが終わらないといった理由で監査意見が不表明になった企業の累計は14社となった。