米Googleは現地時間2010年3月30日、ベトナム人ユーザーを狙ったサイバー攻撃が発生しており、既に世界中で数万台のコンピュータがマルウエアに感染している恐れがあると警告した。

 ベトナム語のキーボード・ソフトウエアなどにマルウエアが含まれており、そうしたソフトをダウンロードしたコンピュータが感染した恐れがあるとしている。マルウエア自体は高度ではないものの、危害を加える目的で利用されており、感染したマシンは、ユーザーの行動を監視したり、DDoS攻撃を仕掛けたりする。

 Googleは、これらの攻撃にはベトナムのボーキサイト開発に対する反対意見を抑制する目的があると見ている。実際、攻撃はそうした意見を述べているブログに向けられているという。パソコンが感染している疑いがある場合は、信頼できるアンチウイルス・ベンダーのソフトを使って対策をとるよう勧めている。

 New York Timesなど欧米のメディアによると、ボーキサイト開発はベトナム政府が中部高原地方で進める国家プロジェクトで、中国の国営企業が参加している。ベトナム国民の間では批判の声があり、国民に支持されているボー・グエン・ザップ将軍が計画の中止を訴えるなど論議を呼んでいる。

 Googleは3月22日、中国の人権活動家のGmailアカウントがサイバー攻撃を受けたことや、中国政府から強制されていた自己検閲が「ネット上の言論の自由に反する」とし、中国本土向けのサービスの検閲を停止した。同時に、中国本土でホスティングしていたサービスを香港のサーバーに移し、香港経由でサービスを提供している(関連記事:Google、中国向け検索サービスの検閲を停止)。

 Googleは、マルウエアは一般的にインターネットの脅威だが、とりわけ政治的な反対意見の抑制などに使われる場合は有害だと述べている。

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