写真●記者会見で説明するCDCの関係者
写真●記者会見で説明するCDCの関係者
[画像のクリックで拡大表示]
図●Fluzoの概念図
図●Fluzoの概念図
[画像のクリックで拡大表示]

 著作権情報集中処理機構(CDC)は2010年3月31日に記者会見を開催し、音楽配信事業者の著作権管理事業者への利用曲目報告データ作成を支援するシステム「Fluzo」(フルゾ)を稼働させて、4月1日にサービスの提供を開始すると発表した(写真)。

 Fluzoは、複数の著作権管理事業者の権利管理情報を集約した統合データベース、フィンガープリント(音源そのものから抽出したデータ)技術を利用した楽曲検索機能、利用曲目報告データの一括処理機能により、効率的な著作権処理を実現する()。「著作権処理業務は従来、音楽配信事業者と著作権管理事業者の双方にとって大きな負担になっていた。Fluzoで業務を大幅に軽減できるとともに、日本の音楽配信市場のさらなる拡大・発展に寄与する」(CDC)という。Fluzoではサービス開始当初、約800万曲の楽曲を検索できる。検索可能な楽曲数は順次増やす。

 現在は、音楽著作権管理事業者が複数存在する一方で、それぞれが管理する楽曲の作品データベースを横断的に検索する仕組みがない。このため、大量の楽曲の著作権処理を行う場合、楽曲を利用する音楽配信事業者などは管理事業者の作品データベースを個別に検索して作品コードを特定する必要がある。さらに同じ楽曲でも管理事業者が変わることがあるため、一度作品コードを特定した楽曲でも報告のたびに、再度確認しなければならない。

 さらに著作権管理事業者が公開している作品データベースは楽曲名やアーティスト名といったキーワードを基にテキストベースで検索しなければならず、楽曲名などが不確定な場合には検索するのに手間がかかる。楽曲を配信するタイミングと楽曲を著作権管理事業者の作品データベースに登録するタイミングにずれがあり、検索した段階で楽曲が登録されていない場合には時間をおいて再検索を行わなければならないという問題もある。

 CDCがFluzoを構築したのは、こうした問題を解決するためだ。楽曲をそれぞれ管理している著作権管理事業者を洗い出して管理事業者ごとの作品コードを特定し、利用曲目報告データを作成する作業を効率的に行えるようにした。

 CDCは、Fluzoによる著作権処理業務改善のポイントを四つ挙げる。(1)Fluzoに参加する著作権管理事業者(開始当初は日本音楽著作権協会(JASRAC)とイーライセンス、ジャパン・ライツ・クリアランス、ダイキサウンドの4団体)の権利情報の集約、(2)CDCのIDによる一元管理、(3)フィンガープリントを使う検索による効率化、(4)CDCのIDの即時発行による検索の効率化――である。