KDDIは2010年3月31日、携帯電話機のSIMロックに関する記者会見を開催し、SIMロックの現状やKDDIの考えを説明した。会見に出席したKDDI 渉外・広報本部 渉外部長の古賀靖広氏は、「SIMロック解除の目的はユーザーが自由に端末を選べるような状況にすることだと思うが、事業者で他にもシステムに色々な違いがあり、SIMロックだけが問題なのではない」と考えを述べた。会見での質疑応答の主な内容は以下の通りである。

Q.SIMロックが解除されたとしてもWebサイト閲覧や電子メール、アプリケーションなど携帯電話事業者ごとのサービス仕様が異なっていて使えないという説明があったが、アプリケーションや課金プラットフォームなどを切り離して使えるようにすればいいのではないか。
A.大胆な変革になるので、現状だと難しい。

Q.SIMロックフリー端末向けのデータ通信での定額料金プランの計画はあるか。
A.現時点では答えられない。

Q.SIMロック解除が義務づけられた場合、ユーザーのメリットを教えてほしい。
A.SIMロックで端末に他のSIMカードをさしても使えないようにすることで、盗難端末が不正利用される危険を防止している。仮にSIMロック解除が義務づけられた場合は、安い端末を購入して使えるメリットはあるだろう。

Q.端末の販売奨励金とSIMロックの関係は。
A.以前は短期解約の防止が目的だったが、現在は契約期間の拘束があるため以前よりは薄れている。

Q.LTE導入後も、データ通信にLTEで音声は3G(第三世代移動体通信)回線を併用して使う可能性があるという説明があったが、音声もIPネットワークで通信すれば使えるのでは。
A.現時点ではまだ技術的な課題があるとの認識である。

Q.SIMロックの解除で携帯電話機メーカーの国際競争力は増すのか。
A.iPhoneのような世界共通端末をメーカーが作るようになれば増すのかもしれないが、現状の携帯電話事業者ごとに個別に開発するモデルとは異なる。

Q.SIMロックの解除で端末価格は高くなるのか。
A.高くなると見ている。複数の携帯電話事業者に合う仕様を入れ込むとコストがかかるためだ。

Q.SIMロックは日本の携帯電話がガラパゴス化する原因だという意見があるが。
A.日本ではSIMロックと販売奨励金を組み合わせるビジネス・モデルで事業者が競争してきたが、それだけがガラパゴス化や携帯電話機メーカーの国際競争力がないことの原因ではない。

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