オンライン百科事典「Wikipedia」を運営する非営利団体のWikimedia Foundationは米国時間2010年3月25日、Wikipediaに大幅な変更を加える計画を発表した。サイトのレイアウトを変えるほか、使いやすさを高めるためのいくつかの機能を追加する。

 デフォルトの表示では、基本的な機能を分かりやすくまとめた「Vector」を設ける。新たな編集ツールバーを設置し、リンクや表の挿入をより簡単に行えるようにする。また、頻繁に使われる機能のヘルプ情報を参照するためのcheatsheet(カンニング・ペーパー)を組み込む。

 新レイアウトでは、サイト・ナビゲーションを簡素化し、検索キーワード入力欄の位置を移動する。異なるブラウザ・フォーマットやウインドウ・サイズへの対応も強化する。そのほか、Wikipediaロゴにおける細かい修正を施した。

 まず4月5日に、ライセンス・フリーの画像や音声ファイルを集めたサイト「Wikimedia Commons」に変更を適用する。特に問題がなければ、4月後半に英語版Wikipediaを新バージョンに移行し、他の言語版のWikipediaにも順次拡大する。英語版Wikipediaでは、Wikipediaの記事から冊子やPDFファイルを作成する機能も備える。

 これらの変更は、半年前から約50万人のユーザーを対象にベータ提供を行っていた。従来のユーザー・インタフェースを好むユーザーには、クリックで旧バージョンに切り替える機能も提供する。

 Wikimedia Foundationは今後も、編集作業やナビゲーションの向上を図るための改善に取り組み、ベータ・テストを行ったのち、今年後半に追加の変更を実施する。

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