写真1●従業員数2000~9999人の準大手大企業は新しい技術の導入で先行
写真1●従業員数2000~9999人の準大手大企業は新しい技術の導入で先行
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●プライベートクラウドの利用/検討意向
写真2●プライベートクラウドの利用/検討意向
[画像のクリックで拡大表示]
写真3●パブリッククラウドの利用/検討意向
写真3●パブリッククラウドの利用/検討意向
[画像のクリックで拡大表示]

 シマンテックは2010年3月16日、データセンターに関する調査レポート「2010 State of the Data Center Study(2010年版データセンターレポート)」を発表し、その分析結果について説明した。分析結果から、大手よりも従業員数が少ない準大手のほうが、クラウドコンピューティングやデータの重複排除、ストレージの仮想化など、ITコストを削減したり管理の複雑さを軽減したりする先端技術やサービスの活用/採用に前向きであることがわかったという。

 調査は26カ国の1780社に対して2009年11月に実施された。このレポートは1780社を従業員数の規模で三つに分類し、1000~1999人の企業を「大企業」、2000~9999人を「準大手大企業」、1万人以上を「大手大企業」としている。日本の回答は150社からで、大手大企業のみとなっている。ここでいう「データセンター」とは企業が利用するデータが保存されている場所(サーバールームや外部のデータセンターなど)を指す。本レポートは今回で3度目となる。


「日本企業も新技術の導入を推進すべき」

 分析結果は、グローバルでの結果と日本企業のみの結果がそれぞれ発表された。グローバルの結果では、準大手大企業は新しい技術の施行や導入において、ほかの企業分類よりも先行していることがわかった。その結果を表したのが写真1のグラフだ(写真1)。横軸が先端的な技術、折れ線グラフが企業規模を表している。これによると、グリーンの線で表した準大手大企業が幅広い先端技術の分野に関心を持っていることがわかる。これは「競合他社に打ち勝つためのIT投資をしているため」(シマンテック プロダクトマーケティング部プロダクトマーケティングマネージャ 朝倉 英夫氏)だという。

 グラフの中で赤い線で表した日本企業は、グローバルの結果と比較して総じてパーセンテージが低い。シマンテックはこの結果を鑑み、「日本企業もグローバル企業同様に、準大手大企業を中心に、今後より新しい技術の施行や導入を積極的に推進すべきである」と提言している。


パブリッククラウド導入に慎重な日本企業

 日本とグローバルで大きな差となって現れたのが、クラウドコンピューティングの利用/検討意向のフェーズだ。調査では、クラウドコンピューティングを「プライベートクラウド」と「パブリッククラウド」に分け、それぞれの利用/検討意向について質問を設けている。

 プライベートクラウドの利用/検討意向がどの段階にあるかを聞いた質問においてグローバルと日本で大きな違いとなっているのが、「検討中」と「計画中」のパーセンテージだ。「検討中」は日本が32%であるの対し、グローバルは25%だ。一方、「検討中」よりも実現に向けて動いている「計画中」は日本が21%であるのに対し、グローバルは30%と逆転した数値を示している。また、「実装中」や「すでに実装が完了している」の数値を見ても、グローバルは日本と比べて既に利用段階にある企業が多いことがわかる(写真2)。

 一方、パブリッククラウドの利用/検討意向の調査結果では、日本企業の「検討していない」が36%と突出して多い(写真3)。これらの調査結果から、「日本ではまずプライベートクラウドが浸透し、その後にパブリッククラウドへの移行が始まるのではないか」(朝倉氏)とシマンテックでは分析している。


[発表資料へ]