2010年3月9~12日に東京ビッグサイトで開催したリテールテックJAPAN2010では、デジタルサイネージが注目を集めた。3月10日に会場内で開催したデジタルサイネージをテーマにしたセミナーは、増席するほどの盛況ぶりだった。
昨年はデジタルサイネージのディスプレイそのものの大きさや機能の紹介がメインであり、デジタルサイネージとは何かを認知してもらう展示が多かった。今年は“見せ方”にこだわったデジタルサイネージが多数展示されており、実用段階に入ったことがうかがえる。そのいくつかを紹介する。
「人型サイネージ」が商品説明
展示会に欠かせないのが説明員の存在だ。キングプリンティングは、この説明員の役割を担うデジタルサイネージを展示していた。それが「バーチャルマネキン」である(写真1)。
バーチャルマネキンは、人型に加工されたディスプレイにちょうど同じサイズの人の映像を表示し、商品説明をするというもの。半透明のディスプレイにはプロジェクターを使って映像を投影するシカケである。人型以外のものも展示していた(写真2)。
サトーも商品ではなく、自社の展示内容を目立たせるツールとして同様のデジタルサイネージを展示していた(写真3)。いずれも目新しさがあるためか、足を止める人が多かった。
AR技術を使った展示も多数
AR(拡張現実)技術を使ったデジタルサイネージも多数展示されていた。デジタルサイネージの前を通った人をカメラで感知し、アニメーションを通行人の映像に合成して表示するものである。
最近はARとデジタルサイネージを組み合わせた展示例が多く、目新しいものはほとんどなかった。その中で一工夫していたのが、シャープが展示していたARデジタルサイネージである。自社のプラズマクラスターイオン発生機を画面上で合成するものだ(写真4)。
サイネージの前を通った人にウイルスを模したアニメーションを合成し、そのウイルスをプラズマクラスターイオン発生機で除菌する様子を見せる。サイネージの前を通る人はARによって足を止め、プラズマクラスターであることを認識することで滞在時間が長くなるという傾向があったという。シャープの担当者は、「単純なARだと面白くないので、アイキャッチのあるコンテンツを組み合わせた」と説明する。
同じくシャープのブースでは、60インチ型の液晶ディスプレイを12面組み合わせた展示もあった(写真5)。そのスケール感から存在感があったが、シャープの担当者からは意外なメリットを聞いた。それは設置にかかる手間が少ないということである。