フリービットは2010年3月3日、データセンター事業者向け卸売りサービスなど仮想マシン貸しサービスを発表した。新サービスは三つ。一つめは、データセンター事業者やインターネット接続事業者向けの仮想マシン卸売りサービス「VPS-BOX」。二つめは法人向けの仮想マシン貸しサービス「ENTRY-VPS」。三つめはネットワークも含めてデータセンターを丸ごと仮想化した法人向けサービス「ENTERPRISE-FARM」である。ENTERPRISE-FARMは3月中旬に、VPS-BOXとENTRY-VPSは6月までにサービスを開始する。

 VPS-BOXはメモリ256Mバイト、ハードディスク10Gバイトの仮想マシンを最大250台稼動させられる環境を貸し出すサービスである。月額料金を9万9800円。10万円以下に抑え、設備投資負担に苦しむ地方のデータセンター事業者やインターネット接続事業者に売り込む。利用企業はフリービットの設備を使って、自社の顧客向けに仮想マシン貸しサービスを提供できる。

 ENTRY-VPSは低料金が売りとなる法人向け仮想マシン貸しサービス。メモリ1Gバイト、ハードディスク50Gバイトの構成で月額3000~4000円。メモリ2Gバイト、ハードディスク100Gバイトの構成で月額5000~7000円を予定する。

 ENTERPRISE-FARMは「デスクトップデータセンター」をコンセプトに、データセンターを丸ごと仮想化したサービスとなる。仮想マシンの作成、コピーだけでなく、ファイアウオールやVLAN、負荷分散などのネットワーク設定もWeb上の管理画面で行える。現地に管理者が出向かずとも、コロケーションサービスに近い詳細な設定が可能な点が特徴だ。月額3万6143円でXeon 2.4GHzの1コア分に相当するCPU、1Gメモリ、100GHDDの仮想マシン、通信回線、ファイアウオールを利用できる。

 フリービットは今回のサービス提供に当たり、独自の仮想化ソフトをオープンソースソフトをベースに自社グループで開発した。「データセンターの減価償却費の約3割をミドルウエアが占める。自作することでこのコストを実質ゼロにする。また、フリービットのほかのサービスとの親和性を高めるなど、我々にとって最適化した仮想化環境にしたかった」(石田宏樹社長)という。VPS-BOXとENTRY-VPSはOpenVZをベースに、ENTERPRISE-FARMはXenをベースに開発した。ただし、ENTERPRISE-FARMは利用企業の意向次第でVMwareも選択可能だ。