[画像のクリックで拡大表示]

 「個々のマシンの仮想化から事業を開始したが、今や当社はクラウドコンピューティングの基盤技術提供者になった」。2010年3月2日、来日会見を開いた、米ヴイエムウェアのポール・マリッツ社長兼CEO(最高経営責任者)は力強くこう語った(写真)。同氏は、「プライベートとパブリックの、双方のクラウドを橋渡するための基盤製品を、今年は積極的に投入する」と言明する。

 マリッツCEOはクラウドコンピューティングについて、「コンピューティングを実施する場所だけでなく、どのように実施するのか、その方法も重要だ」と指摘。サーバーやストレージ、ネットワークといったハードウエア資源を「あたかも一つの巨大なコンピュータのように扱えるようにする必要がある」(同氏)と言う。

 ハードウエア資源の使用率向上、運用管理の自動化といった技術が、いっそう重要になるというわけだ。そのうえで、「企業の内部か外部かを問わず、必要なITサービスを利用できるハイブリッドクラウドこそが、現実解だ」とマリッツCEOは強調する。

 マリッツCEOは、ハイブリッドクラウド実現に向けた製品の強化を、改めて明言。昨年に提供を開始したプライベートクラウド構築用ソフト「VMware vSphere 4」、デスクトップ仮想化ソフト「VMware View 4」などの拡販を推し進める。2010年に出荷するvSphereの新バージョンでは、強化したプライベートクラウド構築機能を追加するという。

 同社は今年1月、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)版グループウエアを提供するジンブラをヤフーから買収すると発表した。ジンブラ買収の意図についてマリッツCEOは、「電子メールやコラボレーションのSaaSは、あらゆる企業が必要とする基本機能であり、当社の基盤製品を広く使ってもらうためのイネーブラ(促進役、推進役)になる。当社自身が電子メール分野そのもので勝つことを目指しているわけではない」と説明する。