政府の知的財産戦略本部 コンテンツ強化専門調査会は2010年3月1日、第3回会合を開催した。今回の会合では、日本を「デジタルコンテンツ大国」にするための対策の議論が行われた。委員の一人であるドワンゴ 代表取締役会長の川上量生氏は、コンテンツ事業者が顧客と接点を持つことの重要性を主張した。

 川上氏は、プラットフォーム事業者に顧客情報が集まっており、コンテンツ事業者が十分な恩恵を受けにくいという状況を指摘した。「例えばAppleやAmazonなどのプラットフォーム事業者に対して、コンテンツ事業者が顧客との接点を確保することができれば、自らのポジションを強くできる」と述べた。ところが現状を見ると、ユーザーは「iTunes」などのプラットフォームを通じて楽曲などのコンテンツを購入しており、Appleなどのプラットフォーム事業者が顧客情報を握っている。

 仮にコンテンツ事業者自らが顧客情報を集めて活用できれば、新たなコンテンツの制作やコンテンツのプロモーションに活用できる余地が生まれる。川上氏は、顧客に対する窓口をコンテンツ事業者が持つことを法律で義務付けても良いと思うとした上で、「これがなかったら、コンテンツ事業者はプラットフォームホルダーの奴隷になる」と持論を展開した。さらに、「コンテンツ事業者がプラットフォームに依存することなく、独立した事業者として交渉できるようにするとともに、きちんと利益を取ることができる構造を作ることを目標にしても良いのではないか」として、この専門調査会が取りまとめる報告書に盛り込むことを検討すべきと提案した。

 川上氏はこのほか、「インターネット時代で重要なのは、少ないコストで魅力的かつ世界でも新しいコンテンツを作るのが重要」としたうえで、「今後、インターネットの双方向性を生かすコンテンツが世界をリードするのではないか」という見方も示した。