写真1●6rdの技術概要 IPv4ネットワーク上でIPv6パケットをやりとりするためのトンネル技術。
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写真2●Webブラウザからアクセスできる光BBユニットの設定画面 ユーザーは物理ポートごとに、フレッツ網で利用するIPv6アドレスもしくはIPv6インターネットで利用できるIPv6アドレスを指定する。これはいわゆる「マルチプレフィックス問題」を防ぐため。
写真2●Webブラウザからアクセスできる光BBユニットの設定画面 ユーザーは物理ポートごとに、フレッツ網で利用するIPv6アドレスもしくはIPv6インターネットで利用できるIPv6アドレスを指定する。これはいわゆる「マルチプレフィックス問題」を防ぐため。
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写真3●6rdを使ったIPv6インターネットサービスのネットワーク構成
写真3●6rdを使ったIPv6インターネットサービスのネットワーク構成
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写真4●ソフトバンクBB 技術統括 執行役員 ネットワーク本部の牧園啓市本部長
写真4●ソフトバンクBB 技術統括 執行役員 ネットワーク本部の牧園啓市本部長
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 BBIXとソフトバンクBBは2010年2月23日、新しいトンネリング技術「6rd」を採用したIPv6インターネット接続サービスを開始すると発表した(発表資料)。6rdはIPv4ネットワークの上にIPv6パケットを流すトンネリング技術である。BBIXはソフトバンクグループのインターネットエクスチェンジ(IX)事業者。同社のローミングサービスを、ソフトバンクBBが利用する形で提供する(写真1)。

 現在、「Yahoo! BB 光 with フレッツ」「Yahoo! BB 光 フレッツコース」で、「フレッツ 光ネクスト」以外のフレッツサービスを使うコースを契約しているユーザーは、2010年4月以降、順次無償で6rdを使ったIPv6インターネット接続を利用できるようになる。6rdでは、ユーザー宅内に6rdのトンネルを終端するネットワーク機器(CPE:customer premises equipment)が必要だ。これには、ソフトバンクBBがユーザーに配布している専用ルーター「光BBユニット」を利用する。2010年4月以降、新規に配布する光BBユニットには初期状態で6rdの機能を搭載する(写真2)。既存の光BBユニットは、4月から約3カ月間で順次ファームウエアを更新することで、6rdに対応する予定としている。なお、2010年度後半には同社のADSL接続サービス「Yahoo! BB ADSL」のユーザーにも、6rdを利用したIPv6インターネットサービスを提供する予定だ。

 一方、BBIXでは2010年度後半にはソフトバンクBBだけでなく、他のプロバイダーにも6rdを使ったIPv6のローミングサービスを提供する。6rdでは、CPEとの間にIPv6トンネルを形成する事業者側の装置として「6rdボーダーリレー(リレールーター)」が必要だ。このリレールーターをBBIX網内に設置し、他のプロバイダーはBBIXからローミングサービスを受けて接続する(写真3)。なお、6rdのトンネリング技術はACCESSの米国子会社であるIP Infusionが提供した(発表資料)。

「既存のIPv4ネットワークに大きな変更を加えずにすむ」


 ソフトバンクBB ネットワーク本部の牧園啓市本部長(写真4)は、同日開催されたイベント「Global IP Business Exchange 2010」で「IPv6 for Everybody!」と題して講演し、サービス開始の背景について語った。「最近ではパソコンなど端末側のIPv6対応が進んでいる。こうした状況では、当然ネットワーク側もIPv4/IPv6デュアルスタック化する必要がある」(牧園本部長)。その中でも、6rdを採用した理由にはいくつかの技術的なメリットがあるという。具体的には、(1)既存のIPv4ネットワークに大きな変更を加えず、リレールーターを追加するだけでIPv6接続を実現できる、(2)他のトンネル方式にくらべてユーザーを収容する際の効率が良い、(3)6rdではIPv4アドレスからIPv6アドレスを生成するため、新たなアドレス配布システムが必要ない、(4)リレールーターはプロバイダーごとに異なるIPv6プレフィックスを広告するため、経路を制御しやすい――といった特徴だ。

 BBIXがIPv6インターネット接続のローミングサービスに乗り出したのは、2011年4月にも始まるNGN(フレッツ 光ネクスト)上で提供されるIPv6インターネットサービスとも関係がある。NGNのIPv6インターネット接続方式の一つ「ネイティブ方式」では、3社の「ネイティブ接続事業者」だけがNGNと相互接続し、他のプロバイダーはネイティブ接続事業者からローミングサービスを受けてIPv6インターネットに接続する仕組みだ。BBIXはこのネイティブ接続事業者の1社に選ばれている。BBIXとしては、プロバイダーがアクセス回線にNGNを使っている場合、ネイティブ方式でローミングサービスを提供すればいい。ところが、その他のフレッツ光やADSL、CATVなど、NGN以外のネットワークをアクセス回線に使う場合にはネイティブ方式ではサービスを提供できない。そこで、NGN以外の回線を使うプロバイダー向けに、今回の6rdを使ったローミングサービスを用意したといえる。

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