知的財産戦略本部の「インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関するワーキンググループ」は2010年2月22日、第2回会合を開催した。今回の会合では、日本レコード協会と日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)がそれぞれの立場から、インターネット上の違法コンテンツ流通に関するプロバイダーの責任の在り方について意見を述べた。

 日本レコード協会は、プロバイダーの違法コンテンツの防止に向けた取り組みのさらなる強化や、発信者情報の開示の迅速化などに向けて、制度の見直しを提言した。違法コンテンツの防止については、「違法コンテンツの蓄積に使われるサーバーを持つプロバイダーに権利侵害行為の防止措置を講じることを義務付けるべき」と主張した。法律上の義務として規定されなければ、「著作権侵害防止措置の実効性が伴わない」という。さらに、「インターネット接続サービスを提供するプロバイダーについて、著作権侵害行為を繰り返す悪質ユーザーに対する遮断措置などの対応を制度化すべき」と提案した。一定の基準に基づく遮断措置を講じることを示唆しながら注意喚起を行うことが、「実効性の高い侵害防止措置になり得る」という考えである。

 一方、JAIPAはインターネットの遮断措置に関して慎重な姿勢を見せた。インターネット接続サービスを提供するISP(インターネット・サービス・プロバイダー)がサービスの提供を停止すると、違法なコンテンツの配信だけでなく、すべてのインターネット利用が制限される。「一つの世帯でインターネット回線を共用している場合、家族のうち一人が利用停止になると、家族全員がインターネットを使えなくなってしまう。そこまでしていいのかどうか」と疑問を示した。

 そのうえでJAIPAは、「法改正よりも先にすべき取り組みがあるのではないか」と指摘した。具体的には、「低コストで効果的な著作権侵害防止技術の開発に対する支援」「権利者とプロバイダーとの間で前向きな協議ができる場の構築・調整」「国民への周知啓発」を挙げた。「権利者とプロバイダーが協議をしたうえで対策を行い、その効果がないのであれば、その時点で法改正を視野に入れてはどうか」とした。