NECは2010年2月22日、同社が開発した映像の画質に関する客観評価技術が、ITU-T SG9(国際電気通信連合 電気通信標準化部門作業グループ9)における画質の客観評価方法に関する国際標準規格「J.249」(ITU-T推奨のデジタルケーブルテレビ向け映像画質測定方法 )の一方式として採用されたと発表した。

 この技術は、少量の画像特徴量を用いて映像の画質(QoE: Quality of Experience)の客観的な評価を自動で行うもの。従来、元の映像との直接比較による画質の客観評価技術はあったが、元の映像そのものが必要となるため受信端末上でリアルタイムにQoEを捉えることは困難だったという。

 今回は、具体的には画面を16×16画素のブロックに分割した各ブロック内の輝度の分散に相当する簡易なものを特徴量として算出する。画質チェックを行う際に送信元の映像が不要で、抽出された少量の特徴量だけあれば、サービス運用中でもリアルタイムに画質をチェックできる。また、配信経路の様々なポイントで画質を評価できる。特徴量は非常に少ないデータ量にも関わらず、元映像と直接比較する従来の客観評価指標PSNR(Peak Signal-to-Noise Ratio:圧縮した画像などを復元した際、元の画像よりどの程度劣化したかを示す指標)と同等以上の高精度な画質評価を実現したという。

 評価に必要な演算量が、地上デジタルテレビ放送の映像復号処理(MPEG-2)に比べ約1/20と少ないことも特徴とする。この結果、簡易な機器で画質の評価を行うことができる。この技術の採用により、IPTVやデジタルサイネージなどの映像配信サービスにおいて、映像配信事業者が配信経路中の様々な箇所でQoEを自動かつリアルタイムに確認することができる。この結果、例えば障害発生場所の早期発見が可能になるという。

 この技術は現在、映像配信時の監視向けとして、NEC情報システムズにおいて試作・開発を進めている。

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