写真1●ノキアシーメンスネットワークスのラジーブ・スーリCEO
写真1●ノキアシーメンスネットワークスのラジーブ・スーリCEO
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●「iPhone 3.0の登場で通信トラフィックが急増した」
写真2●「iPhone 3.0の登場で通信トラフィックが急増した」
[画像のクリックで拡大表示]
写真3●「売上が落ち込んだのは自社だけではない」
写真3●「売上が落ち込んだのは自社だけではない」
[画像のクリックで拡大表示]

 「スマートフォンは,氷山の一角。スマートフォンだけでなく,ドングル型の端末や新たに登場するネット端末を合わせてスマート・デバイスと呼びたい」。ノキアシーメンスネットワークスのラジーブ・スーリCEOは2010年2月15日(現地時間),「Mobile World Congress(MWC)2010」に合わせて開催した報道関係者とアナリスト向けイベントでこう語った(写真1)。

 スマートデバイスが通信事業者に及ぼす影響の例として,スーリCEOは,米アップルの「iPhone」を販売する通信事業者の通信トラフィックの推移をあげた。iPhone OS 3.0が登場した2009年6月18日を境に,トラフィックが急増している(写真2)。iPhone OS 3.0では,約1000のAPIを新たに公開,従来よりもアプリケーション開発の幅が広がった。特にアプリ内決済が可能になったことで,コンテンツ単位での販売ができるようになった。このことが,トラフィックを大きく押し上げたとみられる。

 さらにスーリ氏は,2015年にラップトップPCとスマートデバイスから送られるデータ量を23エクサ・バイトと予測。この通信トラフィックを効率よくやり取りするネットワークが重要とする。「スマート・デバイスが,スマートなネットワークを求める」(同氏)というわけだ。

 その解決策の一つとして紹介したのが,セル・ペイジング・チャネルを利用する技術。制御信号を減らすことで5倍のネットワーク利用効率化が可能という。

 このほか,端末のバッテリ持ち時間を改善するCPC(continuous packet connectivity)と呼ばれるネットワーク技術も用意する。通信事業者のHSPA+ネットワークに組み込むことで,データ通信時にはバッテリ持ち時間を最大で100%,通話時には最大50%向上させるという。

 一般に,データ・パケット通信時には長いアイドル時間があり,その間,端末はバッテリを使用し続ける。CPC機能は,アイドル時に端末のトランスミッタとレシーバをシャットダウンすることで電力消費を削減する。

 このほかスーリ氏は,最新の業績を報告した。2009年,ノキア・シーメンスは売上が16%落ちたが,競合他社も同じような状況だと説明した(写真3)。大手通信機器メーカーで唯一売上を伸ばした企業もあるが「中国市場以外の売上を見ると,ほぼ同じ水準」として,売上が伸びなかった理由は外的要因によるものだと解説した。