NTT西日本とNTT西日本-兵庫は、ソフトバンクグループの2社が両社に対して求めていた証拠保全の申し立てに対し、証拠の提出を見送った。NTT西日本側は大阪高等裁判所に即時抗告する方針である。ソフトバンク側はNTT西日本側に対して損害賠償請求を検討しているが、今回提出を求めた資料がないと損害の有無の確定が難しいことから、大阪高裁の判断が出るまでの1カ月程度、請求を見送る可能性が出てきた。
ソフトバンク側は証拠保全を求めて2010年2月8日に、NTT西日本とNTT西日本-兵庫に対して最初の立ち入りを行った。しかしNTT西日本側は証拠保全の手続きが急だとして対応を保留し、証拠提出を見送っていた。2月15日に行われた2度目の立ち入りでは、NTT西日本側はソフトバンク側が求める資料が「事業上の秘密に該当する」という理由で証拠提出を見送った。これを受けて大阪地方裁判所と神戸地方裁判所はNTT西日本とNTT西日本-兵庫に対して、一部資料に関する検証物提示命令を命じたが、NTT西日本側は大阪高裁への即時抗告申し立てを理由に、証拠提出を改めて見送った。
NTT西日本は「2月15日の立ち入りでは、提出を求められた資料が事業上の秘密に該当するものだったので提出を見送った。事業上の秘密に該当しないものであれば提出する予定だった。即時抗告は今後速やかに行う予定である」とコメントした。
この問題は、NTT西日本から業務委託を受けているNTT西日本-兵庫が、他事業者のDSL利用情報や他事業者へ移行した番号ポータビリティ情報などを販売代理店に提供していたというもので、2月4日に総務省がNTT西日本に対して業務改善命令を命じている。