写真●「自治体クラウドの課題は業務プロセス標準化」、都道府県CIOフォーラムで総務省の高地室長
写真●「自治体クラウドの課題は業務プロセス標準化」、都道府県CIOフォーラムで総務省の高地室長
[画像のクリックで拡大表示]

 「実証実験が始まった自治体クラウドに期待する効果は、システムの共同利用によるコスト削減。共同化のためには業務プロセス標準化が必須であり、総務省としてもサポートしたい」--総務省自治行政局地域情報政策室長である高地圭輔氏は2010年2月4日、「都道府県CIOフォーラム第7回春季会合」の講演でこのように指摘した。

 都道府県CIOフォーラムは「日経BPガバメントテクノロジー」誌が年に2回開催するイベントで、今回は43の都道府県のCIOや情報システム部門の責任者などが参加する予定。4日の特別講演で総務省の高地氏は、2009年に6道府県66市町村が参加して始まった自治体クラウドの開発実証事業に触れ、「地方自治体がシステムを共同利用することで『割勘効果』が生まれ、情報化の費用負担の軽減が期待できる」などと説明した。

 もっとも自治体クラウドに移行するためには、各自治体ごとに異なる業務プロセスを標準化するなど、乗り越えるべき課題もある。「標準化支援のために総務省としても、先行した自治体が業務プロセスを標準化する上でどこが難しかったのか、実証実験の途中の段階からオープンにしていきたい」(高地氏)。

 自治体によるクラウドサービスの活用を促進するために、総務省としても準備を進めている。「(2007年から議論してきた)『ASP/SaaS導入ガイドラインの整備』に関しても、今月中にはパブリックコメントを募集する段階に入る。また、データの種類や表現形式、文字コード、外字などを標準化する取り組みも進める」(高地氏)。またクラウドへの移行がベンダーロックインを招かないように、サービスの標準仕様策定も進めるとしている。

 自治体によるパブリッククラウド(インターネット経由で誰でも利用できるクラウド)の利用に関しては、否定的な見解を示した。「インターネットを使ったクラウドの場合、海外のデータセンターにデータが置かれるケースもある。総務省としては、委託先(クラウドサービス事業者)に対する管理が必要だと考えている。また、海外法人には海外法が適用されるという問題があるので、慎重な姿勢を取らざるを得ない」(高地氏)と述べた。自治体クラウドや、各種の自治体向けASP/SaaSは、閉じたネットワークである「LGWAN」で運用されており、そちらは「いわゆるプライベートクラウドだ」(高地氏)という認識だった。