大分県商工労働部情報政策課長 山戸康弘氏
大分県商工労働部情報政策課長 山戸康弘氏
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大分県が検討しているクラウド(IaaS)の利用イメージ
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 「コストメリットを引き出すには官民共同利用が必要。そのために意識改革が大切だ」---2010年2月4日に開催された「都道府県CIOフォーラム2010年春季会合」で、大分県商工労働部情報政策課長の山戸康弘氏は、自治体がクラウドを利用する際の課題をこう指摘した。

 山戸氏は「自治体クラウド開発実証事業の状況と庁内システムにおけるクラウド活用」と題して講演した。大分県は宮崎県ととともに「大分県・宮崎県自治体クラウド推進協議会」を設置し、総務省が進める「自治体クラウド開発実証事業」を実施している。

 大分県が考えるクラウド実証事業の狙いは「市町村事務のBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)と住民の利便性向上、コスト削減およびデータの活用」(山戸氏)。事務のプロセスを見直すとともに、市民情報を一元管理し総合窓口の設置を目指す。一連の作業によりコストを削減し、データの統合や共有により省庁内、自治体間でのデータ活用を促進する。

 すでにサーバーの仮想化を開始している。VMware ESX用サーバーとして5台を導入、Microsoft SQL Serverなどが稼動するWindows Serverを仮想化しており、現在のゲストOS数は33台。

 さらに、IaaS(Infrastructure as a Service)の活用に向けて検討を進めている。IaaSは仮想マシンをOSレベルで利用するクラウド・サービス。一時的な資源の増加をあらかじめ契約した利用料金の中で吸収できる、セキュリティがしっかり確保されているなどの条件が満たされれば、2013年10月からIaaSを利用することを検討している。

 さらに山戸氏は「県のみが使うIaaSではコストメリットが出ない。官民共同で使うことが必要」とし、「民間と同じデータセンターを使うという意識改革が大切だ」と指摘した。ただし同県については、官民の共同利用に対する抵抗はなく推進できるとの見方を示した。