写真●日立製作所の次期社長に就任予定の中西宏明氏(写真:都築雅人)
写真●日立製作所の次期社長に就任予定の中西宏明氏(写真:都築雅人)
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 日立製作所は2010年2月4日午後5時に会見を開き、4月1日付で中西宏明代表執行役 執行役副社長(63)が、代表執行役 執行役社長に就任する人事について説明した(関連記事)。中西氏は海外事業での実績と経験を強みにしており、「今後海外向けの売上比率を、現状の40%から、50%、60%へと拡大していく」と、抱負を語った。現取締役 代表執行役 執行役会長兼執行役社長の川村隆氏は、4月1日付で取締役 代表執行役 執行役会長に就任する。

 川村氏は2009年4月1日に社長に就任しており、わずか1年での社長交代となる。昨年末に川村氏から社長就任の打診を受けた中西氏は、「ちょうど川村社長の負担を5人の副社長がシェアしようと考えていたので、このタイミングでの打診は予想もしておらず、驚いた」と話す。

 社長交代の理由は、業績悪化に一応の歯止めがかかり、守りから攻めに転じて成長路線に踏み出すためとしている。川村氏は、「私が社長に就任した当時は3年連続の最終赤字で、まずは“出血”を止めることが最優先だった。そのためには、会長と社長を兼務することで速やかな意思決定を下す必要があった」と振り返った。川村氏は、社長に就任してからは、上場子会社の完全子会社化をはじめとするグループ企業再編や新株発行による財務基盤強化などの改革策を打ち出した。「昨年は緊急事態対応として、攻め40、守り60だった。今度は攻め60、守り40に転じていく」と、川村氏は語る。

 現在、成長戦略として日立が注力するのが海外事業の拡大と、情報通信と電力電機の融合による社会イノベーション事業である。中西氏は、情報通信や電力電機など幅広い分野の事業で経験がある上に、海外でも日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)の業績回復に成功した手腕を買われて、次期社長に抜擢された(関連記事)。

 中西氏は、「日立の優れた人材と確かな品質を実現するものづくりが、世界の競合に勝つための競争力だ」と強調。「これまでの経験を生かし、次の成長実現のために全力を尽くす」と、決意を語った。