J-SOX(日本版SOX法)で提出を義務付けている内部統制報告書の10月期決算企業の提出期限が、2010年1月末日で終了した。40社が内部統制報告書を提出、うち3社が内部統制が有効でない旨を示す「重要な欠陥」を開示した。重要な欠陥を開示したのはCHINTAI、スリープログループ、京王ズホールディングス。加えて、5月期決算企業のモジュレが訂正内部統制報告書を提出し、09年5月期の決算について「重要な欠陥があった」とした。

 携帯電話販売やテレマーケティングなどを手がける子会社を傘下に持つ京王ズホールディングスと、パソコン導入支援などを手がける子会社を傘下に持つスリープログループはともに、財務諸表監査時に監査人から決算処理の誤りを複数指摘されたことが重要な欠陥に該当するとしている。京王ズホールディングスは決算処理の誤りに加え、「監査役会が規定どおり適時に実施できていないことが判明した」ことも重要な欠陥の一因としている。

 不動産広告を主業務とするCHINTAIは、連結子会社のCHINTAIトラベルサービス(CTS)で、不適切な会計処理が発覚したことを重要な欠陥に該当するとした。CTSの前社長とCHINTAIの前経理担当部員が買掛金と売上原価について、不適切な会計処理を実施し、決算を訂正した。同社は09年9月1日付でCTSの経理担当者をCHINTAI内に集約して統括するといったモニタリング強化策を実施している。

 パソコン関連サービスのモジュレは、過年度の固定資産の会計処理に誤りが見つかり、08年5月期および09年5月期の各四半期決算と年度末決算、10年5月期の第1四半期決算を訂正した。このため訂正内部統制報告書を提出し、重要な欠陥を開示した。第三者による外部委員会を設置して調査した結果、固定資産の会計処理に誤りがあったことが発覚したという。

 10年1月末までにJ-SOX初年度に重要な欠陥を開示した企業は、累計81社(「不備があり、内部統制は有効でない」と開示した1社を含めると82社)となった。同2月2日までに内部統制報告書を提出した企業は累計3147社で、重要な欠陥を開示した企業の割合は約2.5%となる。評価手続きが終わらないといった理由で監査意見が不表明になった企業は10月期決算企業にはなく、累計11社である。