英国政府機関におけるWebブラウザのアップグレードを求める署名活動が始まった。英首相官邸の公式サイトで提供しているオンラインの電子嘆願書サービスを利用したもので、Webデザインやホスティング・サービスなどを手がける英Inigo MediaのDan Frydman氏が嘆願書を作成した。署名できるのは英国民あるいは英国在住者のみで、期限は英国時間2011年2月1日。

 嘆願書では、米MicrosoftのWebブラウザ「Internet Explorer 6(IE6)」に複数のセキュリティ・ホールがあることを指摘し、英国政府が早急に同ブラウザからアップグレードすることを要請している。Frydman氏は、ドイツおよびフランス政府がIE6からのアップグレードを国民に勧告していることについて触れ、「両国政府は新版への移行がオンラインでの安全性確保につながることを国民に知らしめている。英国政府がこうした行動をとれば、欧州のほとんどの国が追随し、米国もそれに続くよう、いくらかプレッシャーを与えることができる」と説明している。

 また同氏は、「政府がIE6を使っている限り、提携業者はIE6をサポートしなければならない。IE6の終了は2014年まで延期された。しかし、それまで待たずにアップグレードを実施し、革新技術とセキュリティを適切に導入するべきだ」と主張した。

 米メディア(CNET News.com)は、Frydman氏が新版への移行を迫るのはセキュリティだけが理由ではないと指摘する。IE6を引き続きサポートするとなると、新たなWebサイトやWebサービスの構築、ソフトウエア開発において、余分に手間と時間がかかるためだ。性能も新版ブラウザのほうが優れている。

 米Googleは、同社サービスにおいてIE6など古いWebブラウザへのサポートを段階的に終了する計画を1月29日に発表した。同社Google Apps担当シニア・プロダクト・マネージャのRajen Sheth氏は、「最新ブラウザを利用するということは最新のWebアプリを利用できるということだ。もし何らかのトラブルに遭遇したなら、それは恐らく古いブラウザを使っているためだろう」と述べ、これを機会にすべてのユーザーが新しいバージョンに移行することを望むとしている(関連記事:Google、3月1日から古いブラウザのサポートを順次終了)。

[電子嘆願書]