写真●mCloudの管理ツールで、アプリケーションサーバーを用意する画面
写真●mCloudの管理ツールで、アプリケーションサーバーを用意する画面
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 米ITベンチャーのモーフ・ラブズ(Morphlabs)は2010年1月29日、プライベートクラウド(企業内クラウド)環境を構築するためのアプライアンス製品「mCloud」を2月1日に発売すると発表した。mCloudの特徴は、「Amazon EC2」と共通のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を備えていること。mCloudを動かすハードウエアは日本IBM製である。ネオジャパンやブロードバンドタワー、CSKシステムズが同製品を自社に導入することを明らかにしている。

 モーフ・ラブズは米国とフィリピンに開発拠点を置く。日本にも子会社を設立する予定。同社は2008年から、Ruby on RailsやJavaなどのアプリケーション実行環境をサービスとして提供するPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)「Morph App Space」を提供している。同サービスはインフラとして、米アマゾン・ウェブ・サービシズの「Amazon EC2」を使用していた。

 今回発表した「mCloud」は、Morph App Spaceと同じ仕組みをユーザー企業の社内に構築するというアプライアンスである。Morph App Spaceの運用のために開発したAmazon EC2の仮想マシンを管理するツールや、Amazon EC2と同じ仮想マシン環境を構築するオープンソースソフトウエア「Eucalyptus」、オープンソースの仮想マシンソフト「Xen」、日本IBM製のPCサーバーを組み合わせている。

 ユーザー企業のシステム管理者は、Webブラウザベースの管理ツールによって、簡単に仮想マシンを作成したり、アプリケーションサーバーやデータベースサーバーをセットアップしたりできるようになる。Amazon EC2と同じツールで仮想マシンが管理できるため、パブリック・クラウド(Amazon EC2のような誰でも使えるクラウド)とプライベートクラウドの連携も容易になるとしている。

 アプライアンス製品は3種類ある。「mCloud Server」は日本IBMのブレードサーバーとシャーシで構成されたアプライアンスで、各ブレードは仮想マシンをホストするサーバーや、複数の仮想マシンをコントロールするサーバーとして機能する。最大100台の仮想マシンをアプライアンス単体で運用できる。ユーザー企業には、月額70万円からという料金で貸し出す。

 「mCloud Server スタータ・キット」は、小型のPCサーバーに仮想マシンソフトや仮想マシンのコントロールソフトをインストールしたアプライアンスで、最大20台の仮想マシンを運用できる。ユーザー企業には月額10万円からという料金で貸し出す。

 「mCloud Controller」は、複数の仮想マシンを管理するPCサーバー1台で構成されるアプライアンスだ。仮想マシンをホストするサーバーは、ユーザー企業が別途用意する必要がある。ユーザー企業には月額20万円からという料金で貸し出す。

 ネオジャパンやブロードバンドタワー、CSKシステムズは、自社が提供するクラウドサービスの運用基盤として、mCloudを使用するという。CSKシステムズはJ2EEのアプリケーション実行環境である「arvicio2」をサービスとして提供する「arvicioCloud」を、mCloudを使って運用し、サービスとして提供する予定だ。