総務省は2010年1月28日、ラジオをはじめとした地域情報メディアの将来像について多様な角度から検討を行うため「ラジオと地域情報メディアの今後に関する研究会」を開催すると発表した。新しいデジタルメディアとの関係も踏まえて、ラジオをはじめとした地域情報メディアの将来像について多様な角度から検討することが目的という。 

 この研究会は、内藤正光総務副大臣の下で活動する。内藤副大臣は、同日行った記者への説明会の中で、ラジオを「地域社会、地域経済、あるいは地域の行政サービスの提供においてラジオは有意なもの」と位置づける一方で、様々な要因でラジオそのものが疲弊していると現状を指摘した。そこで「ラジオをもっともっと国民に親しいものに取り戻したいという思いで、ラジオ放送の在り方をしっかり議論したい」という趣旨だと説明した。6カ月間をかけて議論をする。なお、「アナログ放送の終了で空く跡地も視野においた議論を行って欲しい。しかし、この研究会は、V-Lowの参入に当たっての免許とか、制度設計を議論する場ではない。デジタルの特性を生かした新しい、そして国民により親しまれるラジオ放送の姿を示してもらうことを期待する」と述べた。

 このほか、記者の質問に答える形で、内藤副大臣は以下のように述べた。

<なぜこの時期なのか>
--インフラ整備を担うとも見込まれているNHKから半年の猶予をほしいといってきているので、その期間を利用してこうした議論を行うことにした。単純に今のAM放送の移行ではなく、新しいラジオ放送を考えてもらう時期として、期間として6カ月間を考えた。

 私も各AMラジオ事業者などにいろいろ聞いた。AMの周波数は電波状況が悪いというのはわかる。しかし、電波を変えて同じことを展開しようとしているので、それはいかがなものだろうか。デジタル時代なのでそれを生かした放送、たとえば、映像を使える、双方向もできる。そういった新しい形のラジオ放送を私としては期待している。

<なぜメンバーにラジオ放送の経営者が参加していないのか>
--リアルな当事者が入ると、V-Lとか意識して議論が狭くなる。議論は広くしたい。しかしながら4月には意見交換の場を設けることにしている。その機会に、事業者から意見は聴取させてもらう。

<最終的にまとまったものは、制度などに反映されるものなのか>
--これは、放送改正につながるものではない。
AM事業者の皆様も、私の発言を受けていろいろ考え始めてくれている。ただ、こちらでこういう議論する場も用意するので、例えばV-Lへの参入なども考えてもらえればと思っている

<最終的には報告書をまとめるのか>
--はい。ただし、議論をすること自体がAMラジオをはじめとする事業者へのメッセージだと考えている。

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