オラクルのラリー・エリソンCEO
オラクルのラリー・エリソンCEO
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 「すべてのスタックを統合することで、高速で信頼性が高く、安価で使いやすいシステムを提供できるようになる。顧客に大きな価値をもたらす」。米オラクルが現地時間の2010年1月27日に開催した米サン・マイクロシステムズの統合戦略を説明するイベントで、最後に登壇した同社のラリー・エリソンCEO(最高経営責任者)はこのように語った。

 エリソンCEOは「2010年の我々のビジョンは1960年代のIBMと同じで、包括的で統合されたテクノロジーを提供することだ」と最初に講演したチャールズ・フィリップス社長と同様の見解を述べた(関連記事)。ハードとソフトを一体で提供することで優れた製品が生まれる例として、同社のOracle Exadata Storage Serverを挙げた。

 サンの業績については、優れた技術や数多くの既存顧客が存在することなどを理由に、2010年2月から利益が出ると言い切った。さらにサンの社員を解雇するのではないか、という一部の報道に対して、現実には「fire(解雇)ではなくhire(採用)する」と発言。買収完了までの期間が長引き、サンの統合戦略を語ることができなかったうっぷんを晴らすかのような場面もあった。

 エリソンCEOはイベント参加者との質疑応答を実施。回答のなかで、同氏はMySQLについて「MySQLは信頼性、セキュリティ、パフォーマンスなど全く問題ない。ただ、我々はOracle DatabaseやTimesTenなど様々なデータベースを持っている。LinuxとSolarisの市場が違うように、データベースも製品によってセグメントが異なると考えている」と話した。

 一方、ハードウエア市場でもライバルになるIBMには、対抗意識をむき出しにした。1人の質問者が、IBMが昨年11月にDB2に追加したクラスタ機能を指して「DB2の機能がOracle Databaseと並んだことについてどう思うか」と聞いたところ、エリソンCEOは「並んでいない。DB2はスケールアウトできない」と回答し、オラクル製品との違いを強調した(関連記事)。

 今回のイベントでは、サンの製品や技術の統合を前提にした、オラクルのクラウドコンピューティングへの取り組みも発表されていたが、エリソンCEOは相変わらずのクラウド嫌いの一面をのぞかせた。クラウドコンピューティングに関連した質問に対して、「オラクルは15年前からアプリケーションのホスティング事業を続けてきた。Hotmailも昔からあるし、セールスフォース・ドットコムだって10年くらい前からある」「コンピュータがインターネットにつながっただけで、データベースなど基本的な技術は変わっていない」「クラウドコンピューティングが何なのか分かる人がいたら教えてほしい、真剣だ」などと回答。クラウド流行りの世の中に対する嫌悪感をにじませた。