スカパーJSATは2010年1月27日,東経124・128度CSを利用したハイビジョン放送「スカパー!HD」での3D放送(2010年夏に開始予定)に関する記者会見を開催した。会見には執行役員副社長の仁藤雅夫氏や執行役員専務の田中晃氏が出席し、3D放送を開始する狙いなどを説明した。

 スカパーJSATは、右目用の映像信号(ハーフHDTVの映像信号)と左目用の映像信号(同)をそれぞれ放送受信機からHDMI経由で送出し、テレビ側でそれぞれの映像の処理を行って3D映像として表示する「サイドバイサイド方式」を採用する。3D専用チャンネルを設けて、そこで自主制作番組と番組供給事業者などが制作した番組を同一のチャンネルで放送する。既存のスカパー!HD対応チューナーのユーザーは、3D対応テレビを購入すれば、3Dの番組を視聴できるようになる。

 3Dコンテンツの提供形態は、無料と有料のいずれについても検討している。「プロモーションであれば無料で提供するし、PPV(ペイ・パー・ビュー)の映画なら有料ということになる。さらに『この番組パックを購入したら3D放送が付いてくる』といった特典としての取り扱いもできる」(仁藤氏)として、様々な可能性を模索している。

 なお会見では,記者との間で質疑応答が行われた。主な内容は次の通りである。

Q,2010年度は1カ月に2~3本の3D番組を提供するとしているが、当面は同じ番組を繰り返し放送するのか。

A,(仁藤氏)過渡期では3D番組の放送機会があるときに3D専門チャンネルで放送する。多少の繰り返しはあるかもしれない。ただし3Dの番組が増えてくれば、朝から晩まで3Dの番組を視聴できるようになる。

Q,「3Dの番組を2Dで見たい」というニーズにはどのようにして対応するのか。

A,(田中氏)これはまだ確定していないが、例えば格闘技の試合があって、それを放送するときに3Dだけということはありえない。当然2Dでも放送することになると思う。ただし番組によっては、3Dだけの放送もあり得る。

Q,過去の2Dの番組を3Dで提供することは考えているのか。

A,(仁藤氏)最近はそういうシステムがあるのは聞いているが、我々はライブのコンテンツを特徴としたい。3Dの番組を増やすために、そういうことをするのは考えていない。3Dには3Dの撮影の仕方があるので、3Dならではの視点や放送の仕方を追求していきたい。

Q,3D放送の開始までに、どのくらいの事業者から賛同を得たいと考えているのか。

A,(田中氏)事業者の目標数字は持っていない。ただしコンテンツを作っているのは在京キー局が中心だ。現在、在京キー局の現場レベルの方などを含めてミーティングが始まったところだ。

Q,サービス開始時には、これらの事業者からコンテンツを調達できると考えているのか。

A,(田中氏)そういうふうに考えている。

Q,具体的にどの在京キー局と話し合いを進めているのか。

A,(田中氏)すべてのキー局と協議していきたいと思っている。事実上、ほぼすべてのキー局と話し合いを始めていると考えてもらって結構だ。

Q,3D番組が視聴者の健康に害を与えないようにするため、どのような対策を考えているのか。

A,(仁藤氏)3D番組を制作するうえでのガイドラインを作っていきたい。我々が実際に3Dコンテンツを収録した経験を踏まえて、運用上役に立つガイドラインにしていきたい。それから視聴者に前もって注意を行うことが必要だと思っている。「目が疲れたら見るのをやめてください」といった注意喚起を行わなければならない。これらの作業を放送開始までに終えるように、準備を進めているところだ。

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